2008 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫プロインスリン(ボンビキシン)Cペプチドの新規ホルモンとしての位置づけ
Project/Area Number |
19658019
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩見 雅史 Kanazawa University, 自然システム学系, 教授 (40193768)
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Keywords | インスリン / 昆虫 / Cペプチド / MAPキナーゼ / シグナル伝達 / 直腸嚢 / マルピーギ管 / リラキシン |
Research Abstract |
インスリンは、線虫や昆虫での研究により、個体の生き残り戦略の要となる分子であることが示されつつある。これは、従来の「血糖調節・代謝調節」に係わるホルモンとしての機能を大きく展開させるものである。昆虫におけるインスリン分子(ボンビキシン)の全貌を明らかにし、Cペプチドの新規機能を明らかにするため、本年度は、整備されたカイコガゲノムデータベースを基に、新規ボンビキシン遺伝子の網羅的探索および発現解析を行った(データベースは生物資源研究所の三田和英博士の提供による)。 結果、新規のボンビキシン遺伝子ファミリー、V、W、X、Y、Zを同定し、染色体上にマッピングし、発現解析を行った。Vファミリー遺伝子V1、V2遺伝子は9番染色体、Wファミリー遺伝子W1、Yファミリー遺伝子Y1、Zファミリー遺伝子Z1は1番染色体に存在していた。V1、V2、Z1の各遺伝子はこれまでのボンビキシン遺伝子と異なり、イントロンを有し、祖先タイプのものと考えられた。ボンビキシンZ1の予想されるCペプチド配列はN-AQSYLDANIISAGDLSSWPGLSSQYAKTRAFALAEKS-Cであった。ボンビキシンZ1遺伝子は卵巣を主たる発現組織とし、精巣、脂肪体で発現が見られた。一方、脳では発現が見られず、これまでのボンビキシン遺伝子の発現組織(脳が主要発現器官)とは異なっていた。 現在、ボンビキシンZ1遺伝子dsRNAを合成し、RNA干渉を利用した卵巣での遺伝子発現阻害により、Cペプチドを含むZ1の機能を探っている。
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