2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658021
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中筋 房夫 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授 (20109317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 健二 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (40379821)
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Keywords | ターマイトボール / 卵擬態菌核菌 / 卵認識 / リゾチーム / ヤマトシロアリ / タカサゴシロアリ / 擬態 / 卵サイズ |
Research Abstract |
社会性昆虫において、いつ、どれだけ、何に資源を投資するかというコロニー内資源配分のスケジュールは、コロニーの生存と生産性を決定する重要な問題であり、特にアリのコロニー成長と資源配分についてはOster & Wilson (1978)に代表される多くの研究と議論がなされてきた。孵化後しばらくの間、幼虫はワーカーから給餌される必要があるため、卵生産速度と扶養可能な幼虫数のバランスが維持されなければならない。ヤマトシロアリ属のシロアリでは、卵塊中に卵擬態菌核菌(ターマイトボール)を保有しており、コロニーによっては菌核の比率が卵数を上回る場合もある。したがって、シロアリにとって世話をしている卵数を大きく誤認させている。では、シロアリのシロアリは現在保有するの卵量を認識して、卵生産量を調節するのか。実験的に保有卵数を変化させた結果、卵の追加によって卵生産が抑制されることはなかったが、卵の除去は有意に卵生産を増加させた。これは、ターマイトボールの存在が、卵数の誤認をもたらしてシロアリの卵生産量を抑制することはなく、この点ではシロアリにコストをもたらさないことが明らかになった。また、シロアリの卵生産と卵サイズが、コロニーの成長段階に応じてどのように調節がなされているかについては、ほとんど未知であった。本研究では、シロアリがコロニー創設の初期には大卵を生産し、コロニーサイズの増加とともに小卵化していることが明らかになった。また、創設期の卵はそれ以降に生産される卵よりも早く孵化することが分かった。創設初期において、コロニーが生き残るためには一刻も早く労働に従事できる大きさのワーカーを生産することが重要であり、機能的な卵サイズの調節には大きな適応的意義があると考えられる。
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Research Products
(14 results)