2008 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫における、転移因子マリナーの水平伝播機構およびゲノム進化に及ぼす影響
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19658023
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中島 裕美子 University of the Ryukyus, 分子生命科学研究センター, 准教授 (70244340)
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Keywords | mosl / S2細胞 / Amp,Gm、Cm / MLE / 遺伝的浮動 / 多次元拡散モデル / マイクロアレイ |
Research Abstract |
1)(1)Moslの転移(挿入)活性の検定:ヘルパープラスミド(トランスポゼース遺伝子、Amp+)とドナープラスミド(Moslの末端反復配列に挟む形でLacZ遺伝子を組み込んだバクミドFastBac、Amp+、Gm+)、およびターゲットプラスミド(Amp+,Cm+)をトランスフェクションし、一定期間培養した後、これを回収、大腸菌にトランスフェクションしてCmを含む個体培地(IPTG+、X-gal+)上でコロニーを形成させた。約0.1%の割合でコロニーがLacZ+(青)となったが、解析した全ての青色コロニーでは、ドナーとターゲットプラスミドが共存しており、LacZ遺伝子が転移したターゲットプラスミドは検出できなかった。(2)切出し活性の検定:スクリーニング薬剤をGmに換えた。ヘルパーとドナープラスミドを(1)同様のS2細胞にトランスフェクションし、一定期間培養した後、これを回収、大腸菌にトランスフェクションしてGmを含む個体培地(IPTG+、X-gal+)上でコロニーを形成させた。形成された7x10^4個のコロニーの内、切り出されたことを示す白色コロニーは認められなかった。以上の結果、S2細胞にはMoslの転移活性は認められないと考えられた。 2)転移因子が何らかのメカニズムで活動を始める、十分な世代が経過すれば、遺伝的浮動によって、そのタイプの転移因子は、すべての個体の全てのサイトに侵入するか、消滅するかのいずれかの状態に到達する。実際、ショウジョウバエのMLE(mariner-like element)については、近い種でMLEの有無が一致しないのに遠い種で一致することがあり、遺伝的浮動のためと考えられている(Maruyama & Hartl,1994)。そこで、転移因子がすべての個体の全てのサイトに侵入する確率を、多次元の拡散モデルを用いて導出した。このアプローチはマリナーにも応用できることが示唆された。 3)マイクロアレイ実験(RNAサンプル)に供するためのショウジョウバエの系統確立を、遺伝学的な交配とGerm Line Transfomlation Vectorの開発、という両方向からアプローチした。
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[Journal Article] 台湾産クワコからのマリナー様転移因子の単離とその系統解析2009
Author(s)
鎌内悠, 川西祐一, 矢後勝也, 小田切顕一, 上田恭一郎, 伴野豊, 前川秀彰, Yu-Feng Hsu, 黄勇平, 日高道雄, 中島裕美子
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Journal Title
Entomotech 33
Pages: 31-35
Peer Reviewed
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[Journal Article] Method for rapid distinction of Bombyx mandarina (Japan) from B. Mamdarina (China) based on rDNA sequence difference.2008
Author(s)
Kawanishi, Y., Banno, Y., Fujimoto, H., Nho, S. K., Tu, Z., Mita, K., Tshuchida, K., Takada, N., Maekawa, H., Nakajima, Y.
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Journal Title
Journal of Insect Biotechnology and Sericology 77(2)
Pages: 79-85
Peer Reviewed
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[Presentation] クワコのrDNAの5.8S-28S領域の配列を指標にした比較系統解析2009
Author(s)
川西祐一, 味村博, 三田和英, 山本公子, 伴野豊, 藤本浩文, 屠振力, 盧時甲, 日高道雄, 中島裕美子, 前川秀彰
Organizer
日本蚕糸学会第79回大会
Place of Presentation
東京農工大学農学部
Year and Date
20090321-20090322
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[Presentation] 台湾産クワコからのマリナー様転移因子の単離とその系統解析2008
Author(s)
鎌内悠, 川西祐一, 矢後勝也3, 小田切顕一, 上田恭一郎5, 伴野 豊6, 前川秀彰2, Yu-FengHsu, n中島裕美子
Organizer
日本蚕糸学会第64回九州支部・第74回関西支部合同大会昆虫機能・利用学術講演会
Place of Presentation
九州大学西新プラザ(福岡)
Year and Date
20081113-20081114