2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658027
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
馬 建鋒 Okayama University, 資源生物科学研究所, 教授 (80260389)
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Keywords | 超集積植物 / カドミウム / トランスポーター / 輸送 / 重金属 |
Research Abstract |
1.導管へのローディングに関与しているHMA4の発現パターン HMA4は導管への重金属のローディングに関与しているとされている。本研究では、カドミウム集積量が大きく異なるThlaspi caerulescensの二つのエコタイプGangesとPrayonにおけるHMA4の発現量を比較した。定量的RT-PCRを行った結果、両エコタイプの間にHMA4の発現に差が見られなかった。このことはHMA4がカドミウムの超集積に重要でないことを示唆している。 2.カドミウムトランスポーターの単離 マイクロアレイのデータに基づいて、カドミウムの集積量の多いThlaspi caerulescens(エコタイプ Ganges)からHMA3の全長を3'-と5'-Race法で単離した。HMA3はエコタイプGangesでは高い発現を示し、カドミウム集積量の少ないエコタイプPrayonでは発現が少なかった。またこの遺伝子の発現はカドミウムの影響を受けない。この遺伝子を酵母で発現させると、酵母のカドミウム耐性が弱くなった。これらのことはHMA3がカドミウムの輸送に関与していることを示唆している。 3.Arabidopsis halleriにおけるカドミウムの導管へのローディング過程の解析 亜鉛とカドミウムの超集積植物Arabidopsis halleriにおけるカドミウムの導管へのローディングに対する鉄欠乏の影響を調べた。一週間の鉄欠乏処理により、カドミウムの濃度は導管液中では4倍、根の粗抽出液中では9倍がそれぞれ増加した。また、鉄十分条件下では導管液中のカドミウム濃度が根の粗抽出液中の2〜3倍であったのに対して、鉄欠乏条件下では根の粗抽出液中の濃度が導管液中の濃度と同等、もしくはそれ以上になった。これらの結果はカドミウムの吸収が鉄輸送体を介して行われており、鉄欠乏時にその輸送体が高発現することによりカドミウムの吸収量が増加し、それに伴い導管への排出量が増加する可能性を示唆している。
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