Research Abstract |
(1)ミョウガのマンガン栄養に及ぼすケイ素の効果 近年,ミョウガ栽培現場においてMn過剰症の発生事例が報告されている.そこで,Si施肥が,ミョウガのMn吸収に及ぼす影響について検討した.処理区として,Si添加または無添加条件下で,Mnを10,100,200μM共存させる区を設け,ミョウガ幼植物を35日間水耕栽培した.その結果,(1)Mn100,200μM区の根・地上部Mn含有率は,Si添加区の方が無添加区よりも高い結果が得られた.(2)Mn100,200μM区の根をNH_2OH・HC1で洗浄した結果,Si無添加区では,根に存在するMnの約10%が,Si添加区では約40%が,根表面に酸化・吸着されて存在すると考えられた.また,洗浄後の根のMn含有率も,Si添加区のほうが高い結果が得られた.(3)以上の結果から,Si添加は,根の酸化力増大を通じて根表面でのMn保持能力を向上させるが,根によるMn吸収量,地上部移行量を低下させるには至らなかったと推察された. (2)紫外線ストレスに対するケイ素の軽減効果 ナス果皮に含まれるナスニンは,光(UVストレス)に応答して合成される2次代謝産物である.Siの有用効果は,植物がストレスを受けた際に現れると考えられている.そこで,ナスをUVカットフィルムまたは通常の農業用フィルムで被覆したハウス内で水耕栽培し,UVストレスが軽減された場合とそうでない場合において,Siがナスニン合成にどのような影響を及ぼすか検討した.その結果,通常の農業用フィルム下で栽培した場合,ナス果皮に含まれるナスニン含量は,Si施用区の方がSi無施用区よりも高い結果が得られたのに対し,UVカットフィルム下の場合は,両処理区のナスニン含量に差は認められなかった.これらの結果から,Siが,ナスニン等のフェノール性二次代謝物の合成に関与している可能性が示唆された.
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