2007 Fiscal Year Annual Research Report
アフラトキシンの生産菌における生理的役割に関する研究
Project/Area Number |
19658045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
作田 庄平 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (80192087)
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Keywords | マイコトキシン / アフラトキシン / カビ / 二次代謝産物 / 発ガン性物質 |
Research Abstract |
カビが生産するアフラトキシン(AF)は強力な毒性を持つ。AF生産菌は農作物に感染し大量のAFを生産する。AFはカビの成育とは関係のない二次代謝産物として生産される。AFの持つ毒性と発ガン性はAFの一成分の一部が動物の体内で酸化されることによって発現することより、AFの持つ生理活性は本来別のものであると考えられる。本研究では、AFの持つ生産菌における生産意義を探ることを目的とする。AFの役割が分かれば、全く新しい視点でAF汚染防除を考えることが可能になる。本年度はAFの生産が昆虫の成育に与える影響と、植物精油成分のAF生産に与える影響をケミカルエコロジーの観点から探った。(研究実施計画書と異なる実験を行ったが研究課題の性格上、AFの生理活性に関しての手がかりが得られる可能性が高いと判断し、本年度の実験を優先して行った。) ・AF汚染した植物で昆虫を飼育できる系を確立した。AF生産菌が十分に生育した生ピーナッツをオートクレーブし殺菌した。(オートクレーブ操作ではAFは分解されない)。そのピーナッツを取り出し水で洗浄後、今度はカイガラムシの幼虫をピーナッツ上で生育させた。カイガラムシにはライフサイクルが40日と短いフジコナカイガラムシを用いた。麹菌(Aspergillus oryzae)を生育させたピーナッツではカイガラムシの成育は正常であったがAF生産菌(Aspergillus parasiticus)が生育したピーナッツでは強く生育が阻害された。20年度はAF生産とカイガラムシ成育との関連を詳細に調べる。 ・125種の植物精油成分についてAF生産阻害活性を調べたところ、アフラトキシンG1を特異的に阻害する化合物を含む精油が見出された。その活性成分としてapiol類縁化合物、spiroether類が同定された。それら化合物は植物体に存在する濃度で十分にアフラトキシンG1生産を阻止できると推定された。20年度はそれら阻害物質を利用してアフラトキシンG1のもつ生理作用を探る。
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Research Products
(7 results)