2007 Fiscal Year Annual Research Report
冬眠動物から探る新しい腸管粘膜バリア・粘膜免疫機構と食餌によるその制御
Project/Area Number |
19658048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
園山 慶 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 准教授 (90241364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 純 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 特任准教授 (10374729)
間野 勉 北海道環境科学研究センター, 自然環境部, 主任研究員兼野生動物科長 (60442612)
富沢 昌章 北海道環境科学研究センター, 自然環境部道南地区野生生物室, 室長 (70442613)
釣賀 一二三 北海道環境科学研究センター, 自然環境部道南地区野生生物室, 研究員 (50287794)
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Keywords | 冬眠 / 腸内細菌 / 腸管粘膜バリア / シリアンハムスター / ヒグマ / ツキノワグマ |
Research Abstract |
冬眠動物における腸内細菌と宿主の腸管粘膜バリアおよび免疫系との関係について、以下の三点を検討した。 1.シリアンハムスターの冬眠個体、覚醒期の自由摂食個体および絶食個体の盲腸内容物よりDNAを抽出して16SrDNA断片をPCRにより増幅し、DGGEにより比較した結果、それぞれ特有の菌叢を有することが示された。また、摘出腸管を用いたex vivoにおけるhorseradish peroxidaseの透過の測定および門脈内エンドトキシン濃度の測定の結果、覚醒期の絶食により腸管粘膜バリアが低下するが、冬眠個体においては長期絶食にもかかわらず低下しないことが示唆された。更に、組織化学的解析により、覚醒期の絶食により粘膜萎縮が生じるが、冬眠個体においてはむしろ肥厚が生じることが示され、このことが粘膜バリアの維持と関係すると推測された。 2.夏季の有害烏獣駆除により捕獲された野生エゾヒグマの覚醒個体(8個体)より腸内容物および腸管組織を採取した。また、飼育エゾヒグマの新鮮糞便よりimmunoglobulin A(IgA)heaby chainを抽出・精製し、そのものをマウスに免疫することにより抗血清を取得し、これを利用して免疫組織化学的な手法により腸管粘膜IgAの発現分布等を解析することが可能となった。 3.阿仁マタギの里熊牧場(秋田県北秋田市)において、飼育下のニホンツキノワグマを用いた冬眠時の試料採取(内視鏡を用いた腸内容物および腸管粘膜組織の採取)を実施する体制を確立した。
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