2008 Fiscal Year Annual Research Report
難人工増殖性腸管ウイルスに対する食品成分の感染抑制機能性評価系の開発
Project/Area Number |
19658056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 幹 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20144131)
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Keywords | 食品 / ウイルス / 糖鎖 / 衛生 |
Research Abstract |
1.細胞表面へのウイルス様粒子(VLPs)の結合と内在化を判定する実験系の確立 昨年度の研究により、培養Caco-2細胞を用いてノロウイルスVLPsの表面への結合と内在化を免疫組織化学的および生化学的に判定する実験系がほぼ確率できた。今年度は、同じカリシウイルス科に属し、日本(札幌)で分離されたサポウイルスについて、同様にVLPsを調製して培養Caco-2細胞でのアッセイ系の確立を目指した。Caco-2細胞およびそのサブクローンであるC2BBe1細胞を用いて、サポウイルスカプシドタンパク質VP1に対する特異抗体での蛍光抗体染色により細胞表面のVLPsを観察したが、明確なVLPs陽性細胞は検出されなかった。ノロウイルスと比較してサポウイルスは、Caco-2細胞に対する結合が弱いと推定され、他の細胞株を探索する必要があると考えられた。 2.食品成分のVLPsに対する接着抑制機能を定量的に判定できる実験系の確立 培養Caco-2細胞へのVLPsの結合と内在化を免疫組織化学的および生化学的に判定する実験系を用いて、食品成分によるVLPsの培養腸上皮細胞への結合の抑制を判定できる実験系の構築を目指した。細胞培養用マイクロプレートでCaco-2およびC2BBe1細胞を培養し、上記と同様にノロウイルスVLPsを添加し細胞と反応させた。同時にあらかじめいくつかの食品成分と反応させておいたVLPsを用いて同様に反応させた。洗浄した後、SDSを含む緩衝液で細胞を溶解し、含まれる全タンパク質をSDS-PAGEで分離した後、上記のように抗VP1抗体を用いた免疫ブロッティングにより結合したVLPsを検出した。その結果、一部の食品成分によって濃度依存的にVLPsの細胞への結合が抑制され、ウイルス結合抑制機能を定量的に評価できることが明らかとなった。
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