2009 Fiscal Year Annual Research Report
難人工増殖性腸管ウイルスに対する食品成分の感染抑制機能性評価系の開発
Project/Area Number |
19658056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 幹 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20144131)
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Keywords | 食品 / ウイルス / 糖鎖 / 衛生 |
Research Abstract |
1.細胞表面へのウイルス様粒子(VLPs)の結合と内在化を判定する実験系の確立 昨年度までの研究により、3種のヒト腸上皮細胞株の中では、Caco-2細胞がVLPsの表面への結合と内在化を免疫組織化学的および生化学的に判定する実験には最も適していることが明らかになった。今年度は、コンフルェントになった後、異なる期間培養したCaco-2細胞を用いて、VLPsの細胞内への取り込みに伴うと推定されるVP1タンパク質の断片化を詳しく観察した。3日および21日間培養後のCaco-2細胞にVLPsを添加して0-180分間培養し、洗浄した後、細胞を溶解して、抗VP1抗体を用いた免疫プロット法によりVP1を検出した。培養時間に依存して、60kDaのVP1のバンド強度が徐々に上昇し、細胞に結合したVLPsの増加が観察され、さらに、培養時間が長い条件では、60kDaのバンドに加えて、30kDaおよび35kDaのバンドが抗VP1抗体で検出された。細胞表面あるいは細胞内での酵素的断片化を受けていると推定された。この断片化は21日間培養した細胞でより顕著であり、3週間程度継続して培養して分化させたCaco-2細胞におけるVP1の断片化を追跡することは、VLPsの結合と内在化を判定する優れた指標になると考えられた。 2.食品成分のVLPsに対する接着抑制機能の定量的分析実験系の評価 昨年度までの研究により食品成分によるVLPsの培養腸上皮細胞への結合の抑制作用を判定できる実験系が確立できた。今年度は、ノロウイルスに対する自然抗体が検出されたウシ初乳乳清を用いて、この分析系を評価した。細胞培養用マイクロプレート(24および48穴)で細胞を培養し、上記と同様にノロウイルスVLPsを添加し細胞と反応させた。同時にあらかじめウシ初乳乳清と反応させておいたVLPsを用いて同様に細胞と反応させた。その後、上記のように免疫プロット解析により結合したVLPsを検出した結果、添加した初乳タンパク質量に依存してVLPsの結合が抑制された。
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