2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹下 健 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20179922)
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Keywords | 熱帯樹木 / 荒廃地造林 / 通水抵抗 / アクアポリン / 高温ストレス / 根 / 順化 |
Research Abstract |
マメ科のAcacia mangiumとフタバガキ科樹木のShorea roxburghiiとHopea odorataを供試材料として、地下部の温度を変えた時の通水抵抗の変化や電解質溶出量を測定した。まず、3種の供試苗をまとめ植えした素焼き鉢の周りに巻き付けたホースの中を流す水の温度を変えることで地温を35〜45℃の範囲で制御して栽培し、40℃以上で蒸散速度の低下や葉の萎れが生じることを明らかにした。3種の中ではH.odorataが最も高温ストレスの影響を受けやすいごとを示唆した。次いで、30℃に設定した恒温水槽で栽培した水耕苗を供試し、34〜50℃まで4℃おきの温度に設定した恒温水槽で供試苗の根を30分間高温処理した後、細根の電解質溶出速度を測定した結果、38℃以上では温度が高いほど電解質溶出量が高まることを明らかにした。高温処理を継続した時の順化は明確でなかった。30〜42℃まで4℃おきの温度で6日間水耕栽培し、毎日、日中に蒸散速度を測定し、根の通水性の変化を調べたところ、38℃で低下が認められ、42℃では葉が萎凋し、通水抵抗が著しく増大することが明らかになった。通水抵抗から評価した根の通水性が低下する温度は、電解質溶出から評価した膜機能が著しく低下する温度とほぼ一致することを明らかにした。高温ストレスによる通水性阻害機構をA.mangiumを材料として調べた。38℃で24時間水耕栽培し、その前後で、塩化水銀でアクアポリンの機能を阻害した場合としない場合の通水抵抗を比較し、高温による通水性低下がアクアポリンの機能阻害によることを明らかにした。
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