2007 Fiscal Year Annual Research Report
ビジランス低下抑制効果を指標とした次世代型木材評価法の確立
Project/Area Number |
19658070
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 邦義 Kyushu University, 農学研究院, 助教 (20346836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 弘毅 九州大学, 農学研究院, 助教 (90264100)
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Keywords | 香り / 持続的注意力(ビジランス) / テーラーメード / 木材 / 生理応答 / 心理応答 / 感性 / 自然由来揮発成分 |
Research Abstract |
本プロジェクトの成功の如何は、木材の香りの提示における持続的注意力の低下抑制活性の数値化に掛かっている。平成19年度においては、乾燥木材を提示させた場合の持続的注意力の低下抑制活性に関する実験系の確立に成功した。さらに、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)を用いた、乾燥木材提示時における濃度の算出にも成功した。基盤実験系の確立を行うために、モデル香り成分として、酢酸リナリルやメントールを用いた。それらの香り物質を、香り提示部屋に、一定流量で、提示し、その際のビジランス(持続的注意力)評価系のプロトコールを確立した。その結果、酢酸リナリルの香りを提示した際に、ビジランス低下抑制活性が観察された。しかしながら、いくつかの香り(ラベンダー精油、ペパーミント精油)においては、持続的注意力の低下抑制効果は観察されなかった。このことは、香りの種類や濃度によって、ビジランスの低下抑制効果が異なることを示すと共に、本実験系で、その差違に対して、高い検出力を有していることが確認された。さらに、同時に、SD(Semantic Differential)法、POMS(Profile of.MoodStates)による心理評価、脳波、心電図、NIRS脳計測装置を用いた生理計測を組み合わせた網羅的評価を可能とした。その過程で、待に、香りの濃度の差違によって、交感神経系優位もしくは副交感系優位挙動が異なることも観察された。加えて、濃度によっては、人それぞれの個人差が、実験データに大きく影響を与えることも見出されてきた。これらのことを勘案すると、テーラーメード型の人の感性に影響を与える木材の調製の可能性を示唆するものであった。次年度は、様々な、木材由来の香りを提示することによって、香りの人の生理・心理に及ぼす影響についてのデータを蓄積し、テーラーメード型木材調製法という新たな概念の確立を目指す。
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