Research Abstract |
本研究は,野生サケ類が再生産している河川における野生魚と孵化場魚のバイオマスを明らかにし,河川固有個体群としての野生魚の遡上実態からその保全に関わる知見を得ることを目的として,無線操縦ヘリコプター(以下,ラジコンヘリ)に撮影装置を搭載した航空センサス法の確立を進めている。初年度は,1,飛行システムのセットアップとして,購入予定であった市販の空撮用ラジコンヘリ(空撮用低排気および撮影装置の振動対策仕様)の販売が中止されたことから代替の機種選定に時間を要し,かつラジコンヘリの操縦を習得するのには予想以上の時間を必要とし,平成19年秋のサケ類遡上シーズンには本システムの本格運用はできなかった。しかしながら,本年度末の段階で,本研究に適した機体(東鵬開発製SCRC GSR260改)が配備され,また,空撮に必要な最低限の操縦法を会得し,地上の魚体ダミーの撮影に成功した。2,撮影システムとして,交付申請時にはデジタルビデオカメラによる動画からのビデオキャプチャー画像を解析の中心に用いる予定であったが,同画像では解像度が不足であることが判明し,デジタル一眼レフカメラの搭載に変更した。それに伴い,地上からシャッターが切れる機構などを機体に追加した。3,画像解析システムには,計画通りNIHが供給するフリーソフトウェアImageJ Ver.1.37を用い,試験的に撮影した河川遡上中のサケ類の画像を解析したところ,川底などの背景からサケが占める画像を効果的に抽出可能であることが明らかとなった。以上のことから,萌芽的な研究手法として着手したラジコンヘリによる航空センサスがサケ類遡上動態の定量化に有効である可能性がより具体的に明らかになった。
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