Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (90336701)
久賀 みず保 鹿児島大学, 水産学部水産学科, 助教 (50432688)
矢野 泉 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (90289265)
鳥居 享司 鹿児島大学, 水産学部水産学科, 准教授 (70399103)
板橋 衛 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (90289645)
|
Research Abstract |
研究初年度にあたる本年は次の二つの課題を掲げて研究に取り組んだ。第1は,東アジア消費市場圏における「周辺貿易」概念の整理である。第2は,歴史的に存在していた「国境貿易」を基盤に,地理的距離が近い他国のサブ消費地市場圏に結びつく「周辺貿易」へと拡大していく様相を,農水産物を中心に明らかにすることである。 日本,韓国,中国でのコア市場での消費需要の高まりによって,極東三か国の間では相互の貿様相を,農水産物を中心に明らかにすることである。易関係が複雑に入り組み始めている。それまでの食料貿易は日本に向かう一方的な矢印であった。水産物では,日本の対韓国向けの活魚生産が活発化している。中国による鮮魚・活魚の対韓輸出が増えている。また,日本の対中水産物輸出がここ2-3年間で急増している。一方,韓国・中国の野菜産地は周辺国市場の動向に左右されたダイナミックな動きをみせている。 東南アジアでは,消費需要が拡大し続ける中国向けの農水産業の生産・輸出が増えている。冷凍魚,活魚,熱帯果物,中華食材などの取引拡大が顕著である。先進国市場向け輸出とは違い,零細な輸出加工業者のネットワークが既存の産地を中国市場へと結びつけている。また,大きな消費地市場であり,他国への中継基地にもなっているタイには,カンボジアやミヤンマーから大量の農水産物が流入している。ミヤンマーから輸入された鮮魚は,タイの消費地市場に向かうとともに,マレーシアやシンガポールに再輸出される。こうした在来型の国境貿易ルートの拡大が広く確認できた。 東アジア消費市場圏においては,食料貿易がグローバル化する一方,リージョナル化が進んでいる。 それにともなって,コア消費市場の周辺に位置する国・地域の零細規模の農水産物産地の生産・流通構造がドラスティックに変容をとげているのである。
|