2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア消費市場圏における周辺貿易のダイナミズム-食料貿易リージョナル化の現実-
Project/Area Number |
19658084
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山尾 政博 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (90336701)
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Keywords | 周辺貿易 / 自由貿易 / 食品製造業 / 産地間競争 / 分業・協力関係 / 食生活の変化 / 消費市場圏 |
Research Abstract |
東アジアにおける食料周辺貿易は、この数年の間に劇的な変化を遂げた。中国及び韓国における食料消費需要の拡大は、わが国の沿岸漁業に活気を与え、東南アジア諸国の零細漁業・養殖業と同じように、在来型水産商品の貿易の比重が高まった。農産物についても、従来のように中国・韓国から日本に生鮮品・加工品が一方的に流れ込むという構図ではなくなり、双方向的な貿易関係が強まった。また、韓中間の周辺貿易も飛躍的に拡大している。生鮮品及び低次加工食品の生産・流通では、国境を越えた産地間競争が激化しているが、同時に、食料産業をめぐる垂直的かつ水平的な分業・協力関係が深化している。総合加工食品では、製造拠点となる中国・タイを核にベトナム・インドネシアが加わって、その周辺国との間に原料供給、半製品調達、完成品製造などのネットワークが形成されている。東南アジア大陸部のバンコク、半島部のシンガポール、韓国の釜山は、それぞれの消費需要を拡大させて周辺国からの食料品輸入を増大さると同時に、域内にある他の消費市場圏及び食品製造拠点に対する仲継ぎ機能の役割も果たしている。東アジア諸国問の自由貿易協定がこうした食料周辺貿易の活発な動きを後押し、東南アジア大陸・半島部と極東アジアを結ぶ道路・輸送網の整備による物流一体化・効率化がそれを支える。東アジアでは、食料貿易のグローバル化が進行する一方で、食料生産と消費がリージョナルに完結するフードシステムができつつある。 国民所得が上昇を続けている国・地域では、食生活のあり方が大きく変わりつつある。若い世代の欧米系ファースト・フードに対する需要がきわめて高い。また、食品製造業の発展と周辺貿易の拡大を背景に、域内の食事メニュー及び食文化の紹介・移入が活発に行われている。食料周辺貿易の拡大による東アジア食文化圏の新たな発展が展望できる。
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Research Products
(36 results)