2007 Fiscal Year Annual Research Report
砂丘地土層における不均一な水の流れの発生とその水・物質移動への影響に関する研究
Project/Area Number |
19658085
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安中 武幸 Yamagata University, 農学部, 准教授 (80302305)
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Keywords | 降雨浸入 / 砂層 / ぬれ性 / みかけの接触角 / フィンガー流路 |
Research Abstract |
砂丘地の持続的・環境保全的農業確立に資するため、砂丘地土層における降雨や灌漑に伴う降下水移動(浸入過程の水移動)に影響する要因とそのメカニズムを検討する。本年度は、砂層の水に対するぬれ性(撥水性を示さない範囲でのぬれやすさ・ぬれにくさ)が降雨浸入現象に及ぼす影響を実験的に検討した。ぬれ性の指標には「みかけの接触角」を用い、これを種々の値(40〜90°)に調整した乾燥砂を透明なアクリル製チャンバーに充填し、降雨浸入に伴うフィンガー状流路の形成過程を観察・ビデオ撮影した。得られた画像データを詳細に解析することにより、フィンガー状流路の大きさや先端速度のみかけの接触角依存性、さらには降雨強度に対する依存性を明らかにした。 その結果、(1)フィンガー状流路の大きさ(幅)は、みかけの接触角が72°程度で最も小さくなり、接触角がそれより小さくなっても大きくなっても大きくなる傾向を持つこと、(2)フィンガー状流路の先端速度は、みかけの接触角が50〜75°ではほぼ一定となり、接触角がそれより小さくても大きくても速度が低下すること、(3)降雨強度に対する依存性については、先端速度は降雨強度が大きくなるにつれて大きくなるが、流路幅はそれ程依存性が強くないことなどが示された。これらの結果については、再現性とともにメカニズムの検討が必要であるが、従来検討されてきた撥水性を示す砂層ではなく、撥水性を示さない範囲でのぬれ性の違いが降雨浸入過程に与える影響を示したことが本研究の重要な意義である。
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Research Products
(2 results)