2009 Fiscal Year Annual Research Report
デッドエンド遺伝子を使ったニワトリ始原生殖細胞の発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
19658099
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 眞彰 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 教授 (60175536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 伸彦 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00363325)
宗 知紀 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90221340)
|
Keywords | 始原生殖細胞 / 生殖系列特異的タンパク質 / 生殖細胞の発生・分化 / 免疫組織化学 / リコンビナント / 抗血清 |
Research Abstract |
本研究では,Cdaz1,CdhおよびCvh遺伝子のcDNA情報から特異的抗体を作製して,生殖細胞の発生・分化に伴う変化を免疫組織化学的に解析した。15胚日齢と30日齢の精巣および卵巣をサンプルとしたウエスタンブロッティングでは,抗CDH抗体および抗CVH抗体のいずれの場合もシングルバンドとして検出された。これに対して,抗CDAZL抗体は両精巣と15胚日齢の卵巣でシングルバンドが検出されたが,30日齢の卵巣ではバンドは検出されなかった。いずれの抗体も高い特異性を示したが,ステージによってはDAZLタンパク質の発現が減少していることが考えられた。そこで、生殖隆起に到達する前のPGCと上記の性腺サンプルを用いて二重免疫組織化学を行った。PGCではこれら生殖細胞系列のタンパク質は全て陽性反応を示した。発生が進んだ7および15胚日齢では,精巣および卵巣はすべての抗体に陽性反応を示し,さらに30日齢の精巣でもすべての抗体に陽性反応を示した。これに対して,30日齢の卵巣では多くの卵毋細胞が抗CVHおよび抗CDH抗体に陽性反応を示したが,卵毋細胞の約25%がCVH陰性であった。興味あることに,抗CDAZL抗体に対して卵毋細胞は殆どが陰性であった。さらに成熟精巣ではいずれのタンパク質も陽性であったが,CDAZL陽性細胞やCVH陽性細胞と比較すると,CDH陽性細胞がより精細管の基底膜側に分布していることが認められた。生殖系列特異的タンパク質は細胞内局在が異なるだけではなく,配偶子形成に伴って著しい発現の変化が見られることが明らかとなった。これらタンパク質のうち最も長く発現を持続するのがCVHであり,精毋細胞や卵毋細胞など配偶子形成の後半まで発現が認められた。また,CDHは卵毋細胞で発現が認められたが,CVH陽性の精毋細胞ではCDHは発現せず雌雄の相違が示唆される。これに対して,減数分裂に関与すると考えられているCDAZLは卵毋細胞での発現が消失する一方で,CVH陽性である精毋細胞では発現が認められたことから,雌雄間の発現時期の相違に注目される。少なくとも,CDAZLおよびCVHは精子形成期の減数分裂後半までmRNAの核から細胞質への移送に必要であることが示唆される。
|
Research Products
(3 results)