2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
昆 泰寛 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10178402)
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Keywords | マウス / 腎臓 / ネフロン / 後腎原組織 / 尿管芽 / HNF4α / コンマ字体 / 近位尿細管 |
Research Abstract |
腎臓、とくに後腎は同じ中間中胚葉由来であるにも関わらず、中腎管より派生する尿管芽と間葉凝集がもたらす後腎原組織との相互的作用で形成される。この初期発生に関与する遺伝子群については近年徐々に明らかにされてきているものの、中期以降の発生すなわちネフロンの形成過程に関与する遺伝子の詳細については未だ不明のままである。本研究の目的は、ネフロンをin vitroで作り出し、移植医療・獣医療に貢献することにある。 HNF4aは核内ホルモンレセプターファミリーに属す転写因子で、内胚葉由来組織の一部に発現し主として肝細胞の分化、機能維持に重要な働きを担う。また、HNF4aは2種類のプロモーター(p1,P2)を有し、少なくとも9種類のスプライスバリアントの存在が報告されている。HNF4aノックアウトマウスは原腸胚形成期に胚外内胚葉の形成不全のため死亡し、その後に分化する腎臓においてHNF4aが如何なる機能を有するかは未だ不明である。今年度は腎臓におけるHNF4aの役割を解明する目的で、まず同因子の組織学的局在を中心に検討した。 成マウス(C57BL/6)を用いたRT-PCR法で、P1は主に小腸、大腸、肝臓、腎臓、P2は主に胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓で発現していた。免疫染色では、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓に陽性細胞が検出された。腎臓ではすべての近位尿細管上皮細胞の核に陽性反応が出現した。胎子腎臓のHNF4a蛋白は後腎原組織内のコンマ字体で初めて検出され、ネフロン形成途上恒常的に検出された。肝臓のHNF4aはtransthyretin, apolipoprotein CIII, HNF1aのプロモーターに結合し肝細胞の分化と機能維持に働くことから、腎臓でも類似の機能を有しているものと推察され、ターゲット因子の同定が急がれる。
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Research Products
(6 results)