2007 Fiscal Year Annual Research Report
腸内フローラ変動による自然免疫応答と消化管運動との連関機構の解明
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19658109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 正敏 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (70211547)
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Keywords | Germ free / 腸内細菌 / 消化管 / 消化管運動 / TLR受容体 / リポポリサッカライド / 自然免疫 |
Research Abstract |
本年度は無菌マウス(10-12週齢)を用いて、無菌状態で飼育されたマウスの消化管(結腸)形態がどのように変化するのか、また、運動生理機能にどのような変化が生じるのかについて検討した。まず、消化管運動を制御する筋層間壁内神経叢、粘膜下神経叢、カハールの介在細胞ネットワークについて、それぞれPGP9.5とckit抗体を用いて免疫染色学的解析を行った。結果、12週齢の無菌マウスにおいては、筋層間壁内神経叢とカハール介在細胞によるネットワークには形態学的異常はみとめられなかった。また、平滑筋層においても、内輪走筋層、外輪走筋層ともに正常マウスとの間に有意な形態学的相違は認められなかった。さらに、筋層部における常在型マクロファージの形態と細胞数についてもF4/80抗体を用いて解析した。結果、無菌マウスにおいても正常マウスと同等の筋層部常在型マクロファージが分布していることがわかった。 次に生理学的パラメーターとして、摘出平滑筋条片(輪走筋条片)を用いた平滑筋収縮測定と摘出結腸を用いた管腔内圧刺激誘発蠕動運動反射測定を行った。結果、無菌マウスから摘出した平滑筋組織状片における脱分極刺激やムスカリン作動薬による収縮応答性は、正常マウスにおける収縮応答性と差は認められず、平滑筋細胞自身の収縮能力は無菌マウスにおいても正常であることが示唆された。さらに、無菌マウスにおける蠕動反射も、正常マウスでのそれと有意な差は認めらかった。蠕動反射はカハール介在細胞-壁内神経-平滑筋細胞間の相互作用によって制御されているこ。以上の成績から、生後8-12週齢の無菌マウスにおいては、カハール介在細胞-壁内神経-平滑筋細胞の相互作用は正常に維持されており、正常マウスと同様の消化管運動機能を維持していることが示唆された。
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