2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸内フローラ変動による自然免疫応答と消化管運動との連関機構の解明
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19658109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 正敏 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (70211547)
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Keywords | Germ free / 腸内細菌 / 消化管 / 蠕動運動 / Toll like receptor / リポポリサッカライド / 自然免疫 |
Research Abstract |
本年度は、Germ freeマウス消化管における、自然免疫応答の異常の有無について解析した。 SPFマウス結腸にLPSを曝露すると蠕動運動の顕著な抑制が認められる。この蠕動運動抑制は消化管筋層部の常在型マクロファージがTLR4を介してLPSを認識し、COX-2とiNOSを誘導し産生されるNOが蠕動運動抑制を引き起こすことが示唆された。一方、Germ freeマウス結腸においてはLPSによる蠕動運動抑制は認められず、TLR4を介したiNOS誘導系が不活性化されている可能性が示唆された。事実、LPS刺激によるTLR4のmRNA発現増加はSPF結腸マウスのみで認められ、Germ freeマウス結腸では認められなかった。さらに産生されるNOに対する感受性について検討したところ、NOドナーであるNOR1による蠕動運動振幅の抑制、ならびにニトロプルシドによる結腸輪走筋収縮抑制はSPFマウスで顕著であり、Ger freeマウスで感受性が低下している事が示唆された。すなわち、Germ freeマウス結腸平滑筋細胞においてはNOに対する感受性が低下していることが明らかになった。一方、蠕動運動反射の蠕動回数は神経とICC機能の指標となるが、蠕動運動反射の回数においてはNOドナーであるNORIによる抑制作用はSPFマウス結腸とGerm freeマウス結腸の間に差は認められず、両者ともにNOR1によって同程度蠕動運動反射の抑制が認められた。すなわち、神経とICCの機能もNOに対して抑制性に作用するがGerm freeマウスにおいてのその感受性は変わらないことがわかった。以上の成績から、無菌環境下の消化管はLPSに対する感受性が単に低下するだけでなく、平滑筋細胞のおいてはLPS/TLR4シグナルの下流に存在するiNOS/NO系の不活性化が生じることがわかった。
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