2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658122
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有江 力 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (00211706)
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Keywords | バイオマス / 菌類 / 遺伝子 / 応用微生物 / 発酵 / ピルビン酸デカルボキシラーゼ / 遺伝子破壊 / エタノール生産 |
Research Abstract |
トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici)は、液体培地および寒天培地中に最大0.7%程度のエタノールを生産した。この他にも、アセトアルデヒド、イソアミルアルコール等を培地中に生産した。アルコール生産のキーエンザイムであるピルビン酸脱炭酸酵素(ピルビン酸→アセトアルデヒドの変換を触媒)をコードする遺伝子(pdc1)をトマト萎凋病菌ゲノムからクローン化した。トマト萎凋病菌ゲノム中には、pdc1が1コピーが存在する事を明らかにした。pdc1は、ジャガイモブドウ糖液体培地(PSB),異なる炭素源添加MM液体培地での培養で発現(転写)することが明らかになった。また、萎凋病菌に感染したトマト根部組織中でもpdc1が発現している事が判明した。トマト萎凋病菌のpdc1-破壊株を同領域の二回相同組換えによって作出した。pdc1-破壊株は、好気条件下での生育は野生株と差が見られないものの、微好気および嫌気条件下では野生株に比べて生育が劣った。それ以外の菌学的性状は、野生株と大差なかった。pdc-1破壊株は、培地中でのエタノール生産量がほぼ0となり、トマト萎凋病菌におけるエタノール生産にPDC1が必須である事を明らかにできた。pdc1-破壊株は、トマトに対して野生株と同等な病原性を示し、PDC1が病原性に関与しないと考えられた。pdc1の上流にPTEFなどの常時発現型プロモーターを接続したベクターを作成、これを用いてPDC1過剰発現株作出の準備を整えた。
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