2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱測定による、培養できない微生物にも適用可能な、土壌生態系機能解析法の開発
Project/Area Number |
19658124
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 晶善 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (10155111)
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Keywords | 土壌微生物 / 代謝熱 / 熱測定 / 土壌生態系機能 / 炭素化合物代謝能 / 最小生育阻止濃度 / 土壌微生物群落構造 / ゴンペルツ式 |
Research Abstract |
土壌微生物による炭素化合物代謝能は土壌の重要な生態系機能の一つである。その資化活性を評価する代表的な手法にBioLog法があるが,培養困難微生物はその対象とならないなどの問題がある。本研究では,培養困難微生物の資化活性をも評価できる手法の開発とその応用を目指した。 まず最大で43試料を同時に測定できる熱測定システムを構成した。ついで,三重大学付属農場,果樹園,演習林などから採取した各種の土壌を対象として,単糖類やアミノ酸など種々の炭素源を加え,その資化過程を代謝熱を指標として測定した。その結果,10gの土壌サンプルと10から20mg程度の炭素源との組み合わせによって,資化過程を精度良く測定できることがわかった。 解析手法として今回新たに,生成熱の経時変化をゴンペルツの式によって解析する方法を用い,式中のパラメータを精度良く求め得た。式中の各パラメータの値や,生成熱曲線そのものを用いて,炭素源や土壌の種類について統計的な解析が可能であり,土壌微生物の群落構造の解析にも応用できる可能性が示された。 土壌微生物による資化は,塩や重金属などの物質によって抑制される。食塩の共存系におけるグルコースの資化速度を,種々の土壌を用いて測定し,その結果の解析から,それぞれの土壌における塩の効果について,最小生育阻止濃度MICなどの値を精度良く評価できることがわかった。この結果は,土壌汚染や土壌浄化について,その内容を定量的に評価できる可能性を示すものである。
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Research Products
(9 results)