2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼインヒビターBBI遺伝子によるカドミウム非吸収型作物の創出
Project/Area Number |
19658125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 Kyoto University, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Keywords | 環境 / 植物 / カドミウム / 分子育種 / プロテアーゼインヒビター / 蛋白質 |
Research Abstract |
カドミウムの浄化技術を模索する過程で筆者らは、プロテアーゼインヒビターの一種Bowman-Birk protease inhibitor (BBI)に、これまで全く知られていなかった高い重金属耐性を付与する能力があることを最近見いだした。この蛋白質は細胞から分泌され、細胞を取り囲む形でアポプラストに局在することが示唆されている。そこで、BBI遺伝子を「細胞外蛋白質バリア」として用いてカドミウムの植物内への侵入を防ぎ、汚染土壌にあっても安全に地上部の可食部位を収穫できる作物を作出することを試みた。 多年生植物オウレン(キンポウゲ科)由来のBBIのcDNAを、ゲイトウエイベクター系を用いてバイナリーベクターに組み込み、構成的発現プロモータであるCaMV35Sプロモータと連結した。これと平行して細胞内局在を確認するため、C-末端に緑色蛍光蛋白質(GFP)を連結したベクターも同時に作製した。これらを、アグロバクテリウムを介してシロイヌナズナとタバコに導入した。それぞれのT1世代、T0世代で遺伝子の発現をRT-PCRで確認したが、GFPを指標にしたときに蛋白質としての発現が確認できないという障害に突き当たった。現在その原因を解明するとともに、形質転換からやり直しているところである。 これ以外に、カドミウムの浸入口は根であるため根の最外層である表皮で特異的にBBIを発現させることを計画していた。そのため、根の表皮細胞で特異的に発現するAtPGP4プロモータを用い、その下流にBBIを連結したバイナリーコンストラクトを作製したところである。これから植物に導入する予定である。
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