2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Keywords | 酵母 / ゲノムの再構成 / 染色体分断 / ゲノム育種 / 遺伝子重複機能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「染色体の分断技術」を利用して出芽酵母の染色体を細かく分断し、それらの種々の組合わせの脱落によって「ゲノムを再構成する技術」を開発することである。しかし、そのためには、ミニ染色体の分配を自在に制御する技術が必要である。本年度は、ミニ染色体の分配制御技術開発に必要な基盤的な知見を得るため以下の研究を行った。出芽酵母では、染色体のサイズが50kb以下になると細胞分裂時に娘細胞へうまく伝達されず高頻度で脱落する。これまでに多コピーでミニ染色体の伝達を安定化させる遺伝子の探索を行い、機能未知の遺伝子YCRO41Wの多コピー化が、ミニ染色体YAC-AWAの脱落率を84%低下させることを明らかにしている。本研究ではYCRO41Wのミニ染色体安定化機能について解析を行った。まず、多コピー型プラスミドpYES2のGAL1プロモーターの下流にYCRO41WのORFのみをクローン化し、YAC-AWAを持つ酵母細胞へ導入した。この形質転換体をガラクトース培地で培養して、2世代間でのYAC-AWAの脱落率を測定したところ、脱落率は35%低下した。また、YCRO41WのORFから開始コドンを除去した場合には脱落率は低下しなかった。このことから、YCRO41Wタンパク質としてミニ染色体の安定化に寄与することが示唆された。以前の研究により、ミニ染色体を持つ細胞は、細胞分裂期において2つの異常を引き起こすことが知られている。ひとつは姉妹染色分体が早期に分離する異常であり、もうひとつは紡錘体の伸張後も姉妹染色分体が共に片方の極に留まる異常である。そこで、YCRO41Wがこれらの異常を軽減させるかどうかを調べた。YCRO41Wを多コピーで導入した細胞において、紡錘極をCFP、ミニ染色体をGFPで標識し、細胞分裂期の様子を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、姉妹染色分体が早期に分離する細胞の割合は、34%から16%まで低下した。また、紡錘体の伸張後も姉妹染色分体が共に片方の極に留まる細胞の割合は18%から0%まで低下した。このことから、YCRO41Wは細胞分裂期においてミニ染色体の二方向性の確立を正常化させる機能を持っことが示唆された。
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[Journal Article] PCR-mediated one-step deletion of targeted chromosomalregions in haploid Saccharomyces cerevisiae.2008
Author(s)
Sugiyama, M., Nakazawa, T., Murakami, K., Sumiya, T., Nakamura, A., Kaneko, Y., Nishizawa, M., Harashima, S.
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Journal Title
Appl. Microbiol. Biotechnol. 80
Pages: 545-553
Peer Reviewed
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