2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規トロンボキサンA2受容体会合タンパク質KIAA1005の機能の解明
Project/Area Number |
19659011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中畑 則道 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (60045804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 将樹 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (50400271)
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Keywords | トロンボキサンA_2 / トロンボキサンA_2受容体 / Gタンパク質共役型受容体 / シグナル伝達 / 薬理学 |
Research Abstract |
トロンボキサンA_2(TXA_2)は強力な血管平滑筋収縮作用や血小板凝集作用を示すアラキドン酸代謝物で、血栓形成に伴う末梢循環障害の発症に深く関わっている。このTXA_2はTXA_2受容体(TP受容体)を介して作用を発現するが、TP受容体C末端に会合するタンパク質として我々は最近新規タンパク質のKIAA1005を見出した。KIAA1005は2005年にはじめて全長の塩基配列が報告されたが、その生理機能については、まったく不明なままである。そこで本研究では、TP受容体の活性調節におけるKIAA1005の生理的な意義の解明を目的とした。はじめに新規タンパク質であるKIAA1005mRNAの生体内発現をRT-PCRにより解析した結果、全身にユビキタスに発現し、胸腺で特に強く発現していることを明らかにした。KIAA1005はTP受容体C末に会合するタンパク質として酵母ツーハイブリッド系により我々の手ではじめて見出されたが、生体内でもKIAA1005がTP受容体と会合することを、免疫沈降法により明らかにした。ヒトTPはスプライシングによって生じる二つのアイソフォーム(TPαおよびTPβ)が知られているが、KIAA1005は二つのアイソフォームにともに会合することも明らかにした。次に、TPの機能に及ぼすKIAA1005の影響を、KIAA1005過剰発現細胞を用いて検討した。その結果、TP刺激によって惹起される、ホスホリパーゼCの活性化およびextracellular signal-regulated kinase 1/2(ERK1/2)の活性化をKIAA1005は抑制した。ムスカリニックM3受容体刺激によるホスホリパーゼCの活性化はKIAA1005によっては抑制されず、TP受容体特異性を示した。一方ヒトアストロサイトーマ細胞(1321N1)における内因性のTP刺激によるIL-6 mRNA発現の亢進をKIAA1005は強く抑制した。細胞膜のTP受容体を[3H]SQ29548結合により解析すると、TPαおよびTPβの細胞表面量(Bmax)がKIAA1005の発現によって減少した。これらの結果を総合すると、KIAA1005はTPシグナル伝達を負に制御していることが考えられ、その一つの作用機構としてTP受容体の細胞膜発現を抑制している可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)