2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラナーゼによる糖鎖プロセシングの可視化と免疫細胞の機能調節における役割の解明
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19659012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東 伸昭 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (40302616)
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Keywords | ヘパラナーゼ / 糖鎖 / プロセシング / 低分子化 / マスト細胞 / マクロファージ / トリプターゼ / 浸潤 |
Research Abstract |
本研究課題では、ヘパラン硫酸・ヘパリンという硫酸化多糖を対象として、この多糖の限定切断や低分子化の現場を可視化すること、このような「糖鎖プロセシング」の結果として分子や細胞の機能が調節される場合の分子機構を明確にすること、の2点を解明すべき点として、免疫細胞を対象に検討を行っている。 平成19年度には上記の解析を進める上で必要な実験ツールの作製に着手した。切断を受けていないヘパラン硫酸・ヘパリンを選択的に認識する物質として、切断酵素自身であるヘパラナーゼの改変体を利用することができる。検出感度の上昇や多量体化にはプローブとなるこの分子のビオチン化が有用である。酵素によるビオチン化が可能なタグ配列を付加した組換え体タンパク質の発現ベクターを構築した。現在、その大量調製を試みている。また、化学的な方法によるビオチン化も試みたが、現在までに活性を保った状態での標識に成功していない。 多糖の限定切断や低分子化が生じると考えられる細胞の浸潤先端をリアルタイム観察を目的に、ヘパラナーゼのGFP融合体遺伝子を導入したマクロファージ細胞株のクローン取得を進めている。また、ヘパリンの低分子化に伴って観察される細胞レベルの現象として、マスト細胞顆粒内酵素の活性が増強される可能性に着目している。ヘパラナーゼを発現しないマスト細胞株MSTを用い、外因性の組換え体タンパク質を細胞内に効率よく導入する方法を確立した。この方法を用い、酵素タンパク質の発現量に変化のない状態で顆粒内酵素トリプターゼの高分子基質(フィブロネクチン)に対する切断活性がヘパリンの低分子化に伴って上昇することを見出した。このマスト細胞株にヘパラナーゼ遺伝子を導入したトランスフェクタントの作製を同時進行中である。
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Research Products
(14 results)