2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659017
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
鍋島 俊隆 Meijo University, 薬学部, 教授 (70076751)
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Keywords | shati / piccolo / 薬物依存 / メタンフェタミン / ドパミン再取り込み / ドパミントランスポーター / cDNAサブストラクション法 / 側坐核 |
Research Abstract |
覚せい剤や麻薬による薬物依存は大きな社会問題であるが、治療法がほとんど確立されていないのが現状である。依存形成の鍵となる機能分子を同定するために、メタンフェタミン(METH)を連続投与した時の運動量亢進作用に過感受性を示したマウス脳の側坐核から取り出したmRNAを用いて、cDNAサブストラクション法によって、新規機能分子`shati'および`piccolo'を同定した。Shatiおよびpiccoloがどのように薬物依存に関与しているかを、行動実験的、神経化学的手法で検証した。 マウス脳室内にshati-、およびpiccolo-アンチセンス(shati-,piccolo-AS)を注入すると、shati-およびpiccolo-スクランブルオリゴヌクレオチド(shati-,piccolo-SC)を注入されたマウスと比べて、shatiおよびpiccoloの発現レベルが有意に抑制された。METHをマウスに皮下投与すると、自発運動量が亢進し、5日間連続投与することで、METHに対する反応性(運動量)が増加し、逆耐性が形成された。また、METHの連続投与によって場所嗜好性が形成された。Shati-, piccolo-AS群では、SC群および人工脳脊髄液群と比較して、自発運動量亢進、逆耐性、および場所嗜好性の形成が有意に増強された。神経化学的解析から、shatiは、腫瘍壊死因子を介してドパミン再取り込みを促進することによって、piccoloは、C_2Aドメインが膜ホスファジルイノシトール4,5-ニリン酸と結合し、シナッブス膜上でのドパミントランスボーターの発現を維持することによって、メタンフェタミンによって引き起こされるドパミン再取り込みの低下を抑制し、その結果シナップス間隙のドパミン量を減少させ、METH依存形成を抑制していることを明らかにした。 今後、shatiやpiccoloの依存形成メカニズムへの関与を詳細に解明することが、薬物依存形成機構の解明と治療薬の開発に繋がると考えられる。
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Research Products
(35 results)