2008 Fiscal Year Annual Research Report
γシクロデキストリン誘導体を用いた細胞膜機能タンパク質の生物薬学的解析
Project/Area Number |
19659020
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
市川 厚 Mukogawa Women's University, 薬学部, 教授 (10025695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 安代 武庫川女子大学, バイオサイエンス研究所, 助手 (70211117)
田中 智之 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (40303846)
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Keywords | γ-シクロデキストリン / マスト細胞 / 機能性タンパク質 / 生物薬学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、無損傷マスト細胞からの機能性タンパク質の分離とその機能解析に、γシクロデキストリン(γCD)誘導体が有効なプローブになることを実証することである。まず、水溶性かつ低細胞毒性のγCD誘導体(マルトシル誘導体)を開発し、次いで、γCD誘導体が増殖性マスト細胞(mastocytoma P-815株)に作用すると、細胞傷害を起こさずに、細胞増殖を阻害するとともに、複数の膜輸送に関与する細胞膜タンパク質や細胞質に存在するが膜タンパクとの結合が報告されている複数の解糖に関与する酵素等を包接し、細胞外に引き抜き、放出することを発見した。そこで、なぜγCD誘導体が細胞質酵素を包接するかというメカニズムに焦点をあて解析したところ、γCD誘導体がABCトランスポーターのP-糖タンパク機構やファゴ・エキソサイトーシス機構によって、マスト細胞の内外を移動し、包接体の引き抜きに関与している可能性を示唆する結果を得た。マスト細胞のP-糖タンパクはウェスタンブロットやγCDの蛍光誘導体(Green Chemiluminescent γCD)を用いて、細胞膜と顆粒膜に存在することを確認した。さらに、γCD誘導体のマスト細胞への取り込み能力は細胞増殖と関係し、増殖期(S期)に最大となることを明らかにした。細胞内に取りこまれたγCD誘導体はα-グルコシダーゼによりグルコシルーγCDへと代謝されることも解明した。本年度の研究成果は、γCD誘導体がマスト細胞の機能を解析する上で有効なツールとなること、そのメカニズムとしてγCD誘導体が細胞内に取り込まれ、顆粒等に集積し、それら取り込み途中過程において解糖タンパク等の細胞質タンパク質と包接等を起こし、包接体はエキソサイトーシスを介して細胞外に放出されるという一連の代謝経路を明らかにしたものである。
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Research Products
(7 results)