2007 Fiscal Year Annual Research Report
超百寿者の機能グライコミクス解析による老化バイオマーカーの開発と応用
Project/Area Number |
19659021
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究部長 (30168827)
|
Keywords | 老化 / バイオマーカー / プロテオーム / 糖鎖 |
Research Abstract |
本研究では、105歳以上の超百寿者について、老化に伴う糖タンパク質の発現変化とその機構について網羅的に解析し、老化マーカーあるいは健康長寿マーカーの策定を測ることを目的としている。そのために今年度は、糖タンパク質を高速高感度に検出・同定するための方法論の開発に取り組んだ。糖鎖構造特異的に結合するレクチン及びセルロースカラムクロマトグラフィーと、質量分析計(MALDI-TOF/MS)を用いて糖ペプチド解析方法の開発を行なった。標準糖タンパク質としてウシ膵臓由来リボヌクレアーゼBとヒト血清由来トランスフェリンを用いた。それぞれ約1ナノモルの混合物をプロテアーゼにより酵素消化し、カラムクロマトグラフィーにより糖ペプチドを精製した。MALDI-TDF/MSにより精製糖ペプチドを解析したところ、複数のイオンが検出された。それぞれ計算上の分子量と質量数が一致していた。ここでさらに、MALDI-QIT-TOF/MSを用いて、多段階MS^nにより断片イオンの解析を行なったところ、 MS^2では糖鎖の断片化したイオンが主に検出され、MS^3ではペプチドの断片イオンが検出された。このイオンの質量数を用いてデータベース検索を行なったところ、それぞれの糖タンパク質を同定することができた。また、糖鎖結合位置と糖鎖構造を推定することも可能となった。現在、本法を超百寿者において変化の見られた糖タンパク質の解析に応用している。一方、酸化ストレスは老化に関わる環境因子として知られている。そこで長寿と酸化ストレスの関係を明らかにするため、加齢による酸化ストレス応答能の変化を調べた。その結果、低線量放射線照射では、適応応答の発現に対応してタンパク質合成に関わるelongation factor IIのフラグメントが一過性に変動することが明らかになった。現在超百寿者血漿において酸化ストレスマーカーや抗酸化能のマーカーについて、特異的抗体により調べている。
|
Research Products
(2 results)