2007 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトール結合ドメインをもつ蛋白質を標的とした新規脳保護薬の分子設計
Project/Area Number |
19659025
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 Kumamoto University, その他の研究科, 教授 (40126008)
|
Keywords | シグナル伝達 / 脳神経疾患 / イノシトール / Akt |
Research Abstract |
バナジウムはリン酸のアナログとしてチロシンホスファターゼを阻害し、これを発端とし、PI3キナーゼ/Akt経路に作用することで糖尿病に効果を示す。バナジウムの脳保護作用も同じ機構で説明される。 バナジウムはチロシンホスファターゼを阻害することにより、チロシンキナーゼ受容体のリン酸化を引き起こす。するとPI3キナーゼ(PI3K)が活性化され、PI(4,5)2リン酸をリン酸化してPI(3,4,5)3リン酸が生成する。PI(3,4,5)3リン酸はAktのPHドメインと結合して、Aktを細胞膜へと局在化させる。Aktはチロシン308とセリン473がリン酸化を受けて活性化されるが、このリン酸化にはキナーゼPDK1が重要に関与している。PDK1もPI(3,4,5)3リン酸と結合するPHドメインを持っている。 本研究ではPI(3,4,5)3リン酸アナログの設計・合成を行う。PI(3,4,5)3リン酸アナログはAktのPHドメインと結合して細胞膜へと局在化させると同時にPDK1のPHドメインと結合して細胞膜へと局在化させるという2つの機能を併せ持つと期待される。PDK1は細胞膜上でAktをリン酸化して活性化することが期待される。これにより、チロシンキナーゼ受容体へのリガンド結合なしに、直接的に脳梗塞初期のペナンブラをアポトーシスから救済し、脳保護が可能と考えられる。 平成19年度にはミオイノシトールからの、PI(3,4,5)3リン酸の合成法を検討した。すなわちミオイノシトールをカンファー誘導体を経て光学分割し、得られた光学活性体の6個ある水酸基の特異的な保護と脱保護を経て、最後にリン酸基を導入する方法で、各種のイノシトールリン酸を合成した。
|
Research Products
(2 results)