2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内イオンを利用する分子集積に基づく新しい抗がんシステムの開発
Project/Area Number |
19659026
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
青木 伸 Tokyo University of Science, 薬学部, 教授 (00222472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 正典 東京理科大学, 薬学部, 助教 (80453835)
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Keywords | 分子集積 / 金属イオン / がん / アポトーシス |
Research Abstract |
アポトーシスは、固体の生命を維持するために、遺伝子によって制御された細胞死であり、不要になった細胞や有害な細胞を除去する現象である。アポトーシスの誘起機構の一つとして、ミトコンドリアから遊離したカスパーゼ-9がカスパーゼ-3を活性化する経路がある。しかし、がん細胞は、カスパーゼ-9と複合体を生成するタンパクであるXIAPが、カスパーゼ-9と複合体を生成して不活性化する防御機構をもっている。 そこで本研究では、XIAPを認識するペプチドと金属イオンキレート部をもつ化合物(L-ペプチド)を設計、合成する。がん細胞内でbpy-ペプチドが金属イオンによって自己集積してM(L-ペプチド)を生成し、M(L-ペプチド)-XIAP複合体の生成によってカスパーゼ-9を遊離してアポトーシス誘導を行う。 平成21年度は、平成20年度に合成した2,2'-bipyridyl(bpy)基を有するジペプチド体とモノペプチド体の合成に加えて、リンカーとしてbis(picolyl)amino(BPA)基とN,N'-bis(picolyl)ethylenediamine(BISPICEN)基を有する化合物の合成に成功した。これらのXIAP結合能を蛍光偏光法によって測定したところ、いずれの化合物もnMオーダーのIC_<50>値を有することが明らかになった。亜鉛イオンの効果を検討したところ、BPAリンカーを有する化合物において、亜鉛イオンの効果が認められた。亜鉛イオン存在下、非存在下での差は決して大きくはないが(Zn^<2+>非存在下で44nM、Zn^<2+>存在下で27nM)、さらに強いZn^<2+>キレーターを加えると、IC_<50>値がZn^<2+>非存在下の値に近づいたことなどから、Zn^<2+>との錯体生成がXIAPへの結合を増大させたことが示唆された。また、弱いながらもがん細胞に対するアポトーシス誘導も観測された。現在、これらの成果を発表するべく、論文投稿の準備中である。
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Research Products
(22 results)