2008 Fiscal Year Annual Research Report
トキシコゲノミクスを基盤とした新規生体防御因子の探索
Project/Area Number |
19659030
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉田 武美 Showa University, 薬学部, 教授 (20138415)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝崎 明日香 昭和大学, 薬学部, 助教 (70407443)
芦野 隆 昭和大学, 薬学部, 助教 (00338534)
|
Keywords | Nrf2 / シトクロムP450 / ヘムオキシゲナーゼー1 / トキシコゲノミクス / 5-フルオロウラシル / カドミウム / 誘導型-酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
昨年度に続いて、各種薬物による酸化ストレス関連研究と新規指標探索を目指した研究を進めた。Nrf2KOマウス由来のマクロファージにおけるリポポリサッカライドによるヘムオキシゲナーゼー1(HO-1)と誘導型-酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導において、経時的な時間差があり、後者が先に誘導され、前者が遅れることを明らかにした。HO-1の誘導剤や阻害剤等を種々用いた結果、前者お誘導に伴い、後者が誘導され、後者は更に前者の誘導を阻害するという誘導型酵素の相互調節が存在することを初めて明らかにした。また、カドミウムがHO-1とともに、CYP2A5を誘導することを明らかにし、Nrf2KOマウスにおいては誘導が認められないことから、本P450酵素誘導は、Nrf2依存性であることを明らかにした。また、膵臓β細胞が酸化ストレスに脆弱であることを明らかにし、システインによる防御効果を詳細な検討を加え、その有用性を示すとともに、糖尿病と関連する新たな観点からの機構解明への緒を開くことができた。 一方、抗悪性腫瘍薬として汎用されてている5-フルオロウラシルを用いて、各種抗悪性腫瘍薬の標的部位である骨髄毒性に関して、トキシコゲノミクス解析をwildマウスやNrf2KOマウスで行い、HO-はじめ多くの遺伝子の変動が明らかになり、特に早期にはp53で調節される遺伝子変動が、がん細胞と同様に起きていることが判明した。本件の結果、酸化ストレス関連遺伝子の変動は、かなり遅れて発現していくることも明らかになった。本結果は、抗悪性腫瘍薬の毒性標的となる骨髄の防御方法への方向性を一定程度示唆するものである。
|