2007 Fiscal Year Annual Research Report
超微量発現酵素が薬物の全身的代謝に果たす役割に関する常識を覆す研究
Project/Area Number |
19659033
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
有吉 範高 Chiba University, 医学部附属病院, 准教授 (00243957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 光一 千葉大学, 医学部附属病院, 教授 (90110345)
石井 伊都子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00202929)
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Keywords | 微量発現 / CYP1A1 / 医薬品代謝 / 遺伝子多型 / 発現系 |
Research Abstract |
本年度は,交付申請書における研究実施計画に基づき,(1)日本人で主たるCYP1A1多型発現系の構築と多型がグラニセトロン(G活性に及ぼす影響の評価,(2)他の医薬品代謝における肝CYP1A1の寄与に関する研究,(3)他の医薬品代謝における皮膚CYP1A1の寄与に関する検討,(4)CYP1A1で代謝される医薬品のスクリーニングに着手し下記の成果を得た。 (1)では,野生型CYP1A1,日本人で主たる多型CYP1A1.2(1462V),CYP1A1G45Dの昆虫細胞発現系を構築し,臨床血中濃度域でのヒトにおける主代謝物7-水酸化体の生成酵素活性(Vmax/Km)は,CYP1A1.2は野生型の70%,CYP1A1G45Dは57%と低かった。(2)ではアゼラスチンのヒト肝ミクロゾーム(HLM)での代謝において野生型CYP1A1を持つ個体の肝臓では,抗CYP1A1抗体であまり阻害がかからなかった。発現系で検討したところ,CYP1A1の2種の多型酵素では,アゼラスチンの主代謝反応が2相性(野生型は1相性)となり,基質との相互作用が変化する可能性が示唆された。(3)では,ヒト皮膚組織を購入し皮膚ミクロゾームを調製したが,得られたタンパク量が著しく低く,検討を行うに十分な試料(ヒト皮膚組織)を得ることは困難と考えられた。(4)では,大量の発現CYP1A1が必要であるが,本年度構築した昆虫細胞発現系では発現酵素を得るまでに時間がかかり,収量も期待よりかなり少なかったこと,また当初は実際に代謝反応を行って被験薬物の減少を測定することでスクリーニングを行う予定であったが,よりハイスループット,低コストなスクリーニングを行うために,基質結合差スペクトルを利用することを思いついた。そこで(4)については,迅速かつ大量な発現と,発現後に精製酵素を得ることが容易な系として,新たに大腸菌発現系の構築に着手した。
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Research Products
(2 results)