2007 Fiscal Year Annual Research Report
病態時に変動する転写因子活性のin vivoイメージに基づく医薬品開発戦略
Project/Area Number |
19659038
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 元也 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (40273437)
|
Keywords | イメージング / 転写因子 / 活性酸素 / ハイドロダイナミクス法 / 肝臓 |
Research Abstract |
炎症などの病態時に活性化するAP-1やNF-kappaBなどの転写因子の活性変動を評価することで、種々疾患の病態解明ならびに医薬品候補化合物のスクリーニングが可能と考えられる。本研究では、レポーターアッセイをin vivoに適用することで、転写因子活性をマウス個体で評価可能なシステムの開発に取り組んだ。まず、基本的な条件設定を行うために、NF-kappaB活性に依存してホタルルシフェラーゼを発現するプラスミド(pNFkappaB-Luc)を用いて評価を行った。pNFkappaB-Lucをハイドロダイナミクス法により投与したマウスの肝臓を評価対象とした。投与に関連するNF-kappaBの活性化により投与直後にはルシフェラーゼ活性が認められたが、投与1日後以降の活性は低いことが明らかとなった。このマウスに対し、肝臓のNF-kappaBを活性化することが報告されている腫瘍壊死因子(TNF)alphaを投与したところ、肝臓中ルシフェラーゼ活性の増大が確認された。この活性の増大は、TNF-alpha投与量に依存したことから、NF-kappaB活性の評価が可能と考えられた。そこで、肝障害を惹起するチオアセトアミド(TAA)を投与し、NF-kappaB活性をイメージングすることで肝障害の評価を試みた。その結果、TAAの投与により肝臓中ルシフェラーゼ活性が増大し、この増大は肝臓ターゲティング型カタラーゼ誘導体により顕著に抑制可能であった。さらに、血清中トランスアミナーゼ濃度などの肝障害の指標と、イメージングにより評価したルシフェラーゼ活性との間に有意な相関が認められた。以上より、本イメージングシステムが、肝臓での転写因子活性の変動に基づく肝障害評価に有用であることが明らかとなった。
|