2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜の内外各層でドメインを形成する脂質分子のレプリカ免疫電顕法による対応解析
Project/Area Number |
19659048
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村手 源英 The Institute of Physical and Chemical Research, 小林脂質生物学研究室, 協力研究員 (30311369)
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Keywords | 細胞膜 / コレステロール / 脂質ラフト / 赤血球 / 免疫電子顕微鏡法 / クラスター解析 / フリーズフラクチャー法 / リン脂質 |
Research Abstract |
細胞膜を構成する脂質二重層の外層と内層におけるリン脂質の分布については、これまで主に赤血球膜を材料にして調べられている。近年、スフィンゴミエリンとコレステロールによって細胞膜上に作られる集積(脂質ラフト)が、細胞がその機能を発揮する上で、特に細胞膜を介した情報や物質の伝達の制御に重要な役割を果たしていると考えられてきたが、その実体はいまだ議論の的となっている。これは、細胞膜構成脂質の2次元における分布について、全く明らかになっていないことによるものと考えられる。そこで本研究では、SDS処理凍結割断レプリカ標識(SDS-FRL)法を用いて細胞膜を構成する主要な脂質の分布を明らかにすること、およびクラスターの内外層における対応関係についての解析に挑むことで、脂質ラフトの実体を明らかにする事を目的としている。本年度は、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルイノシトール-4,5-2リン酸の検出に成功し、これまで得られた結果と併せて細胞膜を構成する主要な脂質のすべてを検出することに成功した。これにより、ヒト赤血球において、細胞膜内外層における構成脂質の種類によるクラスターの有無や、統計解析によって見積もられたクラスターの大きさに違いがあることが明らかとなった。赤血球膜において、コレステロールのみが内外層ともにクラスターを形成していること、またその大きさがほぼ同じであることから、これらは対応している可能性があるものと考えられる。以上の研究の一部は国際会議(豊中、大阪、2008、およびアスコーナ、スイス、2008)で発表した。
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Research Products
(3 results)