2007 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク質共役型受容体ヘテロマーを治療標的としたリガンド探索法の確立
Project/Area Number |
19659060
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
輿水 崇鏡 Jichi Medical University, 医学部, 准教授 (20392491)
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Keywords | G蛋白質共役型受容体 / リガンド探索 / ナノバイオ / 生体分子 / 生理活性 |
Research Abstract |
本研究では、ヘテロマーG蛋白質共役型受容体蛋白質に対して特異的に作用する薬物を効率的かつ迅速にスクリーニングする方法を開発する。そのため、既知のヘテロマー受容体を認識する蛍光付加化合物を探索し、これを用いて蛍光標識リガンドと受容体の間に起る光共鳴エネルギー移動を検出することで受容体と化合物の間の相互作用を特異的に探索する。 今年度はモデル受容体遺伝子共発現細胞の樹立と受容体ホモマーの検出条件を確立した。今回の実験系では、最近新たに相互作用が報告されたオピオイド受容体サブタイプmuとdelta受容体をモデルとして系を構築する。この2つの異なる受容体遺伝子を安定発現する細胞を確立する際には新技術として注目される可逆的強制発現タンパク量制御システムを導入した。これによりdelta受容体が恒常的に発現している細胞株にmu受容体の発現を段階的に調節することが可能となり、ヘテロ受容体の機能をこれまでの定性的観察から定量的に評価することが可能となる。 ホモマー受容体のアミノ基末端の細胞外部分に抗原配列を付加した受容体を発現する細胞に対し蛍光標識抗体間で光エネルギー移動を観察し、受容体二量体の検出を行なった。Mu受容体とdelta受容体以外のGタンパク質受容体受容体がヘテロマー受容体を形成する可能性については平行して検索を進め、既に新規のヘテロマー形成を複数発見している。 これらの成果を踏まえ次年度は、蛍光リガンドで標識した受容体と蛍光標識抗体間での光エネルギー移動の検出系構築に進む。蛍光標識リガンドは自作にて合成する必要があることから、各種蛍光発色団の特性と受容体リガンドとしての特性を保つ条件を検討する。この方法により、これまでの科学技術では知り得なかった薬物受容体機能を捉えることが可能となる。加えて薬物の副作用を引き起こす原因としてヘテロマー受容体を介する場合を考慮し、より安全性の高い医薬品開発が可能となる。
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