2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAを新規分子指標に用いた新しい神経・高次脳機能解析
Project/Area Number |
19659073
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
北條 浩彦 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・遺伝子工学研究部, 室長 (60238722)
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Keywords | マイクロRNA / DNAチップ / 神経分化 / 高次脳機能 |
Research Abstract |
近年注目されている研究分野にタンパク質をコードしない機能性RNAの研究がある。特に、ゲノム上に数百〜千近く存在すると言われているマイクロRNA遺伝子そしてその機能解析に大きな注目が集まっている。このマイクロRNA分子が関わる遺伝子発現調節は、RNAi(RNA interference)マシーンが関与する新規の翻訳抑制機構であり、しかも、一種類のマクロRNAが複数のターゲット遺伝子の発現を制御する、まったく新しい遺伝子発現調節機構を担っている。本研究は、このマイクロRNAを新規分子指標に用いた、まったく新しい観点からの高次脳機能解析を実施する。本年度は、複雑な組織構造を持つ脳組織の各サブドメイン(大脳皮質、小脳、海馬、間脳、橋、延髄、脊髄)とマウスP19細胞を用いた神経細胞への分化過程におけるマイクロRNAの発現プロファイル解析を、研究代表者らが既に開発したDNAチップ(Genopal-MICM)を用いて行なった。その結果、各脳組織サブドメインでは、発現するマイクロRNAの種類に大きな差は見られなかったが、それらの発現量についてはサブドメイン間で有意な差が観察された。また、P19細胞の神経細胞系への分化過程では、マイクロRNAの発現が質的にも量的にも大きく変化することを観察した。これらの結果は、マイクロRNAが複雑な脳機能や神経細胞分化に関与している可能性を示唆している。なお、これらの研究成果は既に国際誌に掲載した。マイクロRNAライブ・アッセイ用レポータープラスミド・ライブラリーの作製については、現在進行中である。
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