2007 Fiscal Year Annual Research Report
疾患発症機構の迅速再現系の構築に向け左ヒト体細胞遺伝子組み換え法の開発と創薬展開
Project/Area Number |
19659075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
醍醐 弥太郎 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特任准教授 (30345029)
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Keywords | 遺伝子組み換え / 発癌機構 |
Research Abstract |
平成19年度は、これまで蓄積してきた各種発現ベクターを用いた体細胞遺伝子相同組み換え技術および遺伝子安定発現細胞作製技術の創薬スクリーニング系への応用をめざした技術的検討の一環として、アッセイ系のモデル標的分子となる癌細胞の発生、増殖等にかかわる癌関連分子の探索・機能解析および遺伝子相同組み換えに影響を与える新規の遺伝子の同定と解析を重点的に行った。 (1)モデル標的分子の探索と遺伝子安定発現細胞作製技術の検討: 癌治療薬開発モデルの構築を念頭に置いて4種類の肺癌細胞の増殖・浸潤等に関わる遺伝子を同定し(FGFR10P, KIF4A, LY6K, HJURP)、これらの分子が関わる肺癌の発生・悪性化機構を明らかにした。 (2)遺伝子相同組み換えに影響を与える分子の解析: 同定した新規遺伝子HJURP (Holliday junction recognizing protein)の癌細胞の遺伝子相同組み換えに関わる機能を詳細に解析した。またHJURPが肺癌細胞で高レベルかつ高頻度に発現を認め、その遺伝子産物はATMシグナルの下流分子としてリン酸化修飾を受けて活性化すること、さらにHJURP蛋白質は癌細胞においてhMSH5やNBS1等と結合して相同組み換えによる2本鎖DNA切断修復やdbosomal DNAリピートの安定化に関わることを明らかにした。一方、癌細胞におけるHJURPの発現をsiRNAで阻害すると、著しい染色体不安定化や細胞老化が誘導されることを確認した。すなわちHJURPの活性化は、無限分裂能を獲得した癌細胞で生じる過度のゲノム不安定化やDNA損傷を制御、修復することにより致死的なDNA障害応答機構や細胞老化を抑制して、癌細胞の不死化に寄与している可能性が示された。
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