2007 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt受容体のエンドサイトーシスの多様性と細胞内シグナル伝達機構の選択的制御
Project/Area Number |
19659079
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10204827)
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Keywords | Wnt / Dkk / LRP6 / 受容体 / クラスリン / カベオリン / β-カテニン |
Research Abstract |
Dickkopf(Dkk)は分泌蛋白質で、Wntによるβ-カテニンの蓄積を抑制するWntシグナルの阻害因子である。本研究では、その作用機構を明らかにすることを試みた。Dkkを細胞に作用させると、Wnt受容体であるLRP6がインタナリーゼーションされた。このLRP6のインタナリーゼーションはクラスリンRNAiにより抑制された。また、クラスリン依存性の受容体のインタナリーゼーションを阻害することが知られているモノダンシルカダベリンやクロロプロマジンは、やはりDkk依存性のLRP6のインタナリーゼーションを抑制した。さらに、クラスリン依存性のインタナリーゼーションを阻害すると、DkkのWntシグナル阻害作用が消失した。私共は、LRP6がカベオリン依存性にインタナリーゼーションすることが、Wnt依存性のβ-カテニンの安定化に必要であることをすでに明らかにしている。したがって、DkkはWntと異なる経路でLRP6をインタナリーゼーションすることにより、Wntシグナルを抑制すると考えられた。 本来不活性型であるLRP6の細胞質領域(LRP6C)にカベオリンを融合させる(LRP6C-Cav)と、この融合蛋白質はリン酸化され、細胞内で小顆粒状に存在してβ-カテニンを安定化した。また、活性型であることが知られていたLRP6ΔNはリン酸化され、やはり細胞内で小顆粒状に存在し、カベオリンと複合体を形成して、β-カテニンを安定化した。さらに、カベオリンの膜結合領域を融合させるだけで活性型になることも判明した。これらの結果から、LRP6がカベオリンの局在する細胞膜状の領域(脂質ラフト画分)に存在するごとが、Wntによるβ-カテニンの安定化に重要であることが明らかになった。
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