2007 Fiscal Year Annual Research Report
感染症・炎症に起因する発がんの新規バイオマーカーの開発とがん予防
Project/Area Number |
19659150
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
村田 真理子 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平工 雄介 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30324510)
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (10025637)
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Keywords | 感染 / 炎症 / 発がん / 8-ニトログアニン / 悪性線維性組織球腫 / 予後評価 / 8-oxodG / 誘導型-酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
炎症細胞から生じるスーパーオキシドや等の活性酸素種(ROS)や一酸化窒素等の活性窒素種(RNS)が感染・炎症と発がんを繋ぐ鍵となる。軟部肉腫の一つである悪性線維性組織球腫(MFH)は強い炎症所見を伴い、その発症に炎症が関与することが示唆されている。MFH患者の手術切除標本を用いMFH患者の予後と8-ニトログアニン生成との関連にっいて検討した。8-ニトログアニンと酸化的DNA損傷塩基である8-oxodGの生成および炎症反応に関連するNF-κB、iNOS、COX-2、低酸素状態で誘導されるHIF-1αの発現を免疫組織染色により検討し、予後との関連を解析した。MFH患者の腫瘍組織ではほとんどの症例で明瞭な8-ニトログアニンの生成が認められた。NF-κB、iNOS、COX-2、HIF-1αの発現部位は8-ニトログアニンの場合とほぼ一致し、DNA損傷および上記蛋白の発現については、死亡例で生存例より有意に強く認められた。Kaplan-Meyer法による解析では、DNA損傷および蛋白発現の非常に強い群が有意な生存期間の短縮を示すという極めて興味深い結果が得られた。以上より、8-ニトログアニン生成がMFH患者の予後と関連する結果が得られた。発がんの多段階モデルでは、発がんの第一段階である遺伝子損傷・変異(イニシエーション)、さらに変異細胞が発育・増殖する段階(プロモーション)を経て発がんに至る。感染・慢性炎症下で産生されるROS/RNSにより生ずる8-oxodGとニトロ化損傷塩基8-ニトログアニンは、いずれも変異誘発性のDNA損傷塩基である。8-ニトログアニンは炎症関連発がんのイニシエーション、プロモーションのみならず、プログレッションにも関与し、がん患者の予後評価に応用できる新規バイオマーカーになり得ると考えられる(Cancer Sci 2007,0ncol Rep 2007)。
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Research Products
(9 results)