2007 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックに失活した癌抑制遺伝子を標的とした新規癌予防法の開発
Project/Area Number |
19659151
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
酒井 敏行 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 教授 (20186993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70315935)
与五沢 真吾 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (70381936)
|
Keywords | DNAメチル化 / ヒストンアセチル化 / p16 / INK4A / p15 / INK4B / 癌予防 / 癌抑制遺伝子 / 食品成分 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
近年、DNA塩基配列の変異を伴わずに、後成的な修飾により起こるエピジェネティックな遺伝子発現の変化が、発癌の普遍的な機構として注目されている。サイクリン依存性キナーゼ(cdk)を阻害することで細胞周期進行を抑制するINK4ファミリー(p16、p15など)も、DNAプロモーター領域の高メチル化により遺伝子発現消失し、発癌に深く関与していると考えられる。また、ヒストンのアセチル化も様々な癌抑制遺伝子の発現を抑制していることも知られている。このような、エピジェネティックな要因で消失した癌抑制遺伝子の発現を回復できる薬剤や食品成分を発見し、その作用機構を解明できれば、画期的な癌の分子標的予防法の確立に繋がると考えられる。まずDNAメチルトランスフェラーゼ(Dnmt)の活性が高いSW480細胞に対し、Dnmt阻害剤である5-AZA-dCを処理すると、Dnmt1の発現減少とp16、p15の発現回復が確認できた。これを受けて、細胞増殖抑制、細胞毒性を指標に食品成分・薬剤の探索を行ってきたが、増殖抑制効果のみられた食品成分中に、p16の発現回復がみられるものは現在まで見つかっていない。また、p15はp16と機能的に同一と考えられ、家族性メラノーマのように、p16がジェネティックに失活した癌に対しても、p15を誘導する事でp16の機能を代償できると考えられる。p15について、HT29細胞でEGFレセプターを分子標的とするZD1839(ゲフィチニブ)と新規MEK阻害剤JTP-70902がp15を誘導する事を明らかにした。また、新規ヒストン脱アセチル化酵素剤YM753が、癌抑制遺伝子p21の発現を誘導すること、マウスモデルでも抗癌効果を示すことを明らかにした。今後さらにエピジェネティックに作用して癌抑制遺伝子の発現を回復させ、癌を抑制する成分の探索を続けて行きたい。
|
Research Products
(37 results)