2007 Fiscal Year Annual Research Report
生存分析から見た多重がん患者と単発がん患者の生命予後に関する比較研究
Project/Area Number |
19659161
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡本 幹三 Tottori University, 医学部, 講師 (40032205)
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Keywords | 多重がん / 生存分析 / 地域がん登録 / 住民健診 / 記録照合 |
Research Abstract |
今年度は、多重がんの発生頻度や多重がん患者の特性および多重がん患者の生存予後を目的として行った。 まず、地域がん登録資料から多重がん患者の抽出を行い、単発がん患者と多重がん患者の登録情報(性、生年月日、診断確定日、原発部位、受診動機、診断方法、治療方法)の追加・統合したデータベースを構築した。 住民健診受診者についても、多重がん患者、単発がん患者の同定と登録情報の追加・統合を行い、データベースを構築した。生存解析のため、死亡票照合により生死確認を行い、死亡年月日から死亡年齢、生存期間を算出した。 以上のデータベースを活用して、まず鳥取県における多重がん患者の発生の動向と特徴について解析した。 その結果、多重がん患者の発生は、増加傾向にあり、男性は女性の1.8倍であった。年齢階級別では60歳代が最も多かった。第1がんから第2がん罹患までの経過期間は1-4年と5-9年が最も多く、平均4.7年であった。部位別には、発生数は胃がんが最も多く、発生頻度は喉頭がんを第1がんとする多重がんが最も多かった。 次いで、多重がん患者の特性について解析した結果、性別では男性で多重がんの割合が高かった。多重がんの特徴として、比較的罹患年齢が高いが、受診回数は少なく、生涯喫煙量が多いことが観察された。多重がん患者の生活習慣では、3合以上の多量飲酒者、喫煙・前喫煙者の割合が有意に高かった。また、高血圧者の割合も高く、総コレステロールでは150mg/d1以下の低コレステロールで有意に高い多重がん発生が認められた。 さらに、多重がん患者の生命予後について解析した結果、第1がん罹患から死亡までの生存期間は、多重がん患者は4.3年で単発がん患者の2.8年に対して1歳弱長かった。Cox回帰による実測生存率曲線の比較では、10年生存までは、多重がん患者が単発がん患者より高い生存率を示し、多重がん患者が単発がん患者より長生きすることが示唆された。
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Research Products
(5 results)