2007 Fiscal Year Annual Research Report
起立性高血圧:新たなインスリン抵抗性指標としての意義付け
Project/Area Number |
19659163
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田原 康玄 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 講師 (00268749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 哲郎 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00174003)
小原 克彦 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30260384)
伊賀瀬 道也 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90314955)
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Keywords | 起立性血圧変化 / インスリン抵抗性 / レプチン / 自律神経活性 / augmentation index / 無症候性脳梗塞 |
Research Abstract |
老年者において、起立性低血圧(OH)は脳血管障害や生命予後と相関する。反面、OHと同程度に観察される起立性高血圧(OHT)についての報告は少ない。本研究では老年者におけるOHとOHTの病態生理学的意義について検討した。愛媛大学医学部附属病院抗加齢ドックを受診者251例(男性102例、68±8歳)を対象とした検討から、起立1分後の評価でOHTは21例、OHは20例に認められた。OHT(10.9±12.3ng/ml)ではON(6.4±4.7ng/ml)、OH(5.8±3.7ng/ml)に比し安静時レプチン濃度が有意に高値であったり(p=0.002)、これは年齢、性別、BMIを調整した上でも同様であった(p=0.003)。さらに、起立3分後も持続的にOHTを示した10例では、安静時レプチン濃度が14.8±16.5ng/mlと極めて高値であった。一方、インスリン抵抗性の指標であるHOMA指数(p=0.826、p=0.149)とに相関はみられなかったが、症例数が限られており、継続的な検討が必要といえた。臓器障害(無症候性脳梗塞)との関連では、症例数が限られており統計学的な有意水準には達しなかったものの、OH群(16.2%)でOHT(4.9%)やON(9.5%)よりラクナ梗塞の頻度は明らかに高値であった。レプチンは体重と比例して増加するホルモンであり交感神経の亢進作用を有する。本研究から、レプチンと起立性高血圧という新しい相関が見いだされたが、これが交感神経活性によるものなか、あるいはインスリン抵抗性を反映するものなかについては、症例数を蓄積した上でさらなる検討が必要といえる。一方、臓器障害との相関は、OHで顕著であったことから、OHとOHTとの病態生理学的背景が異なる可能性も示され非常に興味深い。
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Research Products
(7 results)