2007 Fiscal Year Annual Research Report
パラフィン包埋切片からの蛋白質の抽出・定量的解析と法医務への応用
Project/Area Number |
19659172
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中園 一郎 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30108287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 亮一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (20098875)
池松 和哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80332857)
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Keywords | FFPE 標本 / 蛋白抽出 / Western blot法 / Albumin / Transferrin / GAPDH |
Research Abstract |
法医学では死因究明のために、病理組織学的検索が日常的に行われており、さらに免疫組織学的染色法もよく用いられている。しかし、通常の免疫組織学的検索では半定量的検討しか行えず、絶対的な定量的検討が行えない欠点があり、法医実務において信頼性に疑問を有することも少なくない。 Western Blot法やELISA法は組織内の蛋白量を直接的に測定できる利点を持っているために汎用されているが、法医病理の分野では、ホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)標本を用いて、症例の解析が行われ、組織等を凍結保存すことが一般的でないことから、Western Blot法やELISA法は実務応用されていない。最近、FFPE標本からも蛋白質が抽出できる可能性が示唆され、我々は、それらがAntigen retrieval技術を基礎にしていることに着目して、独自に抽出方法(Improved Extraction Method From FFPE Sample法:IEMFF法)を開発してFFPE標本からの蛋白抽出を試みた。実際的には、ホルマリン浸漬時間が1ヶ月以上の肝臓FFPE標本より、Qproteome FFPE Tissue Extraction bufferを用いて、蛋白抽出条件を検討し、Incubate条件を最適化した。Western Blot法にていずれの標本からもAlbuminが検出でき、リプロービング後にTransferrinが確実に検出できた。また、Transferrin、Albuminの順序にても両者が検出できた。さらに、House Keeping蛋白質であるGAPDHについても検出可能であったが、発光量が微量であったため、検出系を最適化したいと考えている。今後、免疫組織学的手法を用いて死因や病態による発現量に差異を認めている蛋白質Oxygen regulated Protein 150(ORP-150)やC-fos gene product(C-fos)等について、Western Blot法、もしくは、ELISA法、Dot Blot法にて定量し、長期保存されたFFPE標本でも蛋白質の抽出と定量が可能であることを確認し、より精度の高い蛋白質(抗原)発現量の測定法を確立し、法医実務への応用性を検討したい
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