2007 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計に基づく死亡時刻推定法の確立-分子生物学的手法で死者の体内時計を読む-
Project/Area Number |
19659173
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木村 章彦 Wakayama Medical University, 医学部, 准教授 (60136611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
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Keywords | 死亡時刻推定法 / 体内時計 / 時計遺伝子 / RT-PCR / サーカディアンリズム / mPer1 / mPer2 / mBmal1 |
Research Abstract |
平成19年度は体内時計に基づく死亡時刻推定法を確立するための基礎的研究を行った。まず、死体臓器からのRNAを試料として時計遺伝子発現のサーカーディアンリズムが検出できることをマウスを用いて実証した。即ち、さまざまな時間に安楽死させたマウスの肝、腎、脾臓からRNAを抽出してRT-PCRを行い、mPer1/mBmal1およびmPer2/mBmal1の発現比を解析した。その結果、死体臓器から時計遺伝子発現のサーカーディアンリズムを正確に検出できることが判明した。肝、腎、脾臓のいずれの臓器を用いても検出が可能であり、位相のずれも認めなかったが、それらの臓器の内で腎が最も適していた。従って、以降の検討は腎を用いて行った。標的遺伝子の組み合わせとしてはmPer1/mBmal1に比較してmPer2/mBmal1がより大きな振幅で振動し、リズムの検出感度が高いことを明らかにした。更に、マウスを安楽死後24時間室温に放置してもmPer2/mBmal1の比に変化はなく、検出感度も十分であった。このことは、剖検時に得られた試料に対しても本法が適応できる可能性を強く示唆する。末梢血中の単核球細胞では肝、腎、脾臓とは時計遺伝子発現のサーカーディアンリズムの位相がずれていることが報告されている。本研究においてもマウス末梢血を用いてmPer2/mBmal1の検出を検討し、効率よく検出できること、および位相のずれの存在を確認した。現在、教室での剖検例において死亡時刻の明らかな例からの腎および末梢血の採取を進めており、次年度にはヒト剖検例に対して本法を応用し法医実務への有効性を明らかにする予定である。
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