2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳の知的機能に関与するかもしれない新規単離因子Vof-21の分子生理額的基礎研究
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19659174
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
東田 道久 University of Toyama, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (20207525)
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Keywords | 記憶学習 / 遺伝子発現 / 発現制御解析 / SiRNA / 神経分化 / cRNA / fms / ゲノム解析 |
Research Abstract |
慢性虚血初期のラット脳中で発現上昇する因子としてdifferential display法によりクローニングされたvof-21(AB089205)は、その全長は4,885 bpであり、ヒト脳中にも存在する。その生理機能としては、クローニング過程から推定して知的機能に関連すると考えられ、またmRNAが青斑核に多く分布することからノルアドレナリン神経系への関与も推定される。しかしながらその詳細は不明である。本研究では、生理機能を解明する手がかりを得ることを目的とし、種々の検討を行っている。1)機能を解明するためには、ゲノム情報と照合することが有効と考え、ヒトゲノム中の配列ならびにその位置に関して検討を加えているが、まだ確信の持てる結論を得るには至っていない。2)ラット大脳皮質初代培養細胞系では、培養日数に伴って、様々な因子のmRNA発現が個性的に変化することを見出した。また、セロトニン2C受容体mRNA editingも培養日数に伴って変化すること、その変化はラット脳での成熟に伴う変化を模倣することを明らかにした。これらのことから、この培養日数に伴う変化は神経系の(細胞損傷後の再)構築過程に類似すると推定した。この系を用いてvof-21のmRNA発現変化を検討したところ、初期の一過性の上昇の後に一旦減少し、その後再び持続的上昇を示すことがわかった。癌遺伝子の一種fmsが類似の挙動を示したことから、vof-21はfms様の形質転換機能を含んでいるのかもしれないと考え、培養細胞系ならびに遺伝子導入細胞を用いて最終年の研究に望む。本研究では時間軸をリアルタイムに捉えることが重要になってきており、所有するイムラプス・リアルタイム蛍光顕微鏡での解析結果に期待を寄せている。
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