2008 Fiscal Year Annual Research Report
母体環境と個体の脳機能、行動の発達-消化管ホルモンの神経栄養作用に着目して
Project/Area Number |
19659178
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
乾 明夫 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80168418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤宮 峯子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10199359)
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Keywords | 心身相関 / 母子相関 / 脳腸ペプチド / 神経栄養作用 / ペプチドYY / 神経管閉鎖不全 / 遺伝子組み換えマウス |
Research Abstract |
ヒトの発達、成長には、幼少時期やおそらく胎児期での環境が重要であると考えられている。なかでも母体環境は、胎児や生後の発達、成長に重要であると考えられているが、従来までのエビデンスは極めて限られたものでしかなかった。 本研究では母体側因子としての消化管ホルモンに注目した。消化管ホルモンの臓器・器官への栄養作用はまだ十分な検討がなされていないが、コレシストキニン(CCK)の受容体、CCK-1、-2のダブルノックアウトマウスは、痩せや成長障害を示す可能性が報告されている。胃から出る空腹ホルモンとして注目を浴びるグレリンは、消化管以外の組織への栄養作用が知られ、母体側のグレリンレベルが胎児の成長そのものにかかわると考えられている。しかし、消化管ホルモンが摂食、情動、認知を含めた中枢神経系の機能や形態にどのような影響を及ぼすかは、まだほとんど明らかになっていない。消化管ホルモンの神経栄養作用を、膵ポリペプチド(PP)ファミリーに属するペプチドYY(PYY)及びグレリンを中心に検討した。PYYは遠位腸管で産生され、摂食や腸管の炎症、肥満等により分泌促進や低下が認められる。このPYY分泌の変化は、食欲・体重調節に重要な役割を有するものと考えられ、PYYは直接、視床下部の弓状核に作用することが証明されている。本年度は遺伝子組み換えマウスを用い、PYYと神経管閉鎖不全(NTD)の関係を検討した。PYY過剰発現マウスはNTDを発症した。PYYの受容体はY1、Y2、Y3、Y4、Y5が主たる受容体である。我々はPYY受容体KOマウスを用いて、Y1受容体がNTDの発症に重要な役割を有することを見出した。すなわち、PYYY1受容体KOマウスは高率にNTDを発症し、外因性PYYの投与はもはやNTDを発症しなかった。したがって、PYY投与はY1受容体を介しNTDを発症し、PYYY1受容体は生理的に神経管の閉鎖にかかわることを明らかにした。
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