2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の発症・進展過程における新しい遺伝子変異導入機構の解明
Project/Area Number |
19659181
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 勉 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (30188487)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸澤 宏之 京都大学, 医学研究科, 助教 (80324630)
|
Keywords | AID / 遺伝子変異 / p53 / 胃癌 / 肝臓癌 / H.pylori / HCV / 胆管癌 |
Research Abstract |
(1)H. pylori感染胃癌、HCV, HBVによる肝臓がん、PSCに伴う胆管癌、さらに潰瘍性大腸炎に伴う大腸癌において、炎症粘膜、がん細胞にAIDの発現が増強していた。しかし通常の胆管がん、大腸癌での非癌部粘膜ではAIDの発現はみられなかった。ただし癌組織では一定の発現がみられた。 (2)これらの発現とp53の遺伝子変異の程度はよく相関していた。 (3)in vitroの系で、AIDの発現は胃粘膜細胞ではH. pylori感染によって、肝がん細胞やprimary hepatocyteではHCVの特にcore蛋白の発現によって、ともに増強した。 (4)またTNFα、 TGFβ、 IL4はいずれもAIDの発現を増強させた。 (5)特にTNFαによるAIDの発現はNFκB依存性であった。またH. pyloriによるAID発現はCagPAI依存性で、さらにNFκB依存性であった。またHCV core蛋白による発現もNFκB依存性であった。 (6)H. pylori感染によって胃がん細胞にp53などの遺伝子変異が蓄積されたが、この作用はAIDのsiRNAによって抑制された。 (7)AIDの強制発現によって胃癌細胞や肝がん細胞、さらに単離肝細胞で様々な遺伝子変異が導入された。 (8)AIDによる遺伝子変異の導入は組織によって異なっていたが、その導入効率は主として遺伝子の発現の程度に依存していると考えられた。 (9)AIDによる遺伝子変異はC to T, G to Aが最も多かったが、それ以外の遺伝子変異も導入された。 (10)以上より、AIDは炎症によってその発現が増強し、様々な遺伝子変異を導入することによって。炎症からの発癌に強く関与しているものと想定された。
|
Research Products
(7 results)