2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659207
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐野 元昭 Keio University, 医学部, 講師 (30265798)
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Keywords | 転写コアクチベーター / ユビキチン / 蛋白分解 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
PGC-1αは、アミノ酸配列上、種を超えて保存されている二つのPEST配列が存在し、ユビキチン・プロテアソーム系によって積極的に分解されている。さらに、プロテアソーム系の機能を抑制するとユビキチン化されたPGC-1αは核内で凝集体を形成してくることが分かった。PGC-1αは機能的にN末側(アミノ酸1-564)とC末側(アミノ酸565-798)の2つの領域に分けて考えられる。C末側ドメインを欠失させたPGC-1α(アミノ酸1-564)は、核に限局した局在が失われますが、核内にあるPGC-1αもユビキチン化を受けなくなり、安定化し、プロテアソーム阻害剤存在下でも凝集体を形成しなくなりました。反対にN末側を欠失させたPGC-1α(アミノ酸565-798)は、ユビキチン化を受けますが、プロテアソームによって分解を受けずに、MG132を加えなくても核内で自然に凝集体を形成することが分かった。このN末側を欠失させたフラグメントPGC-1α(アミノ酸565-798)の強制発現によって容量依存性に、(1)野生型PGC-1αのタンパク質発現量を増加させる事、(2)PGC-1α依存性遺伝子であるミトコンドリア呼吸鎖酵素cytochromec、ATP synthase βのプロモーター活性を上げたことから、PGC-1α(565-798)がPGC-1αに対するユビキチン化酵素と結合することによってPGC-1αに特異的なユビキチンライゲースに対する"デコイ"として働くことを見出した。N末側から順次欠失させて、PGC-1αの分解を制御している領域を検索したところ、N末端側にあるPEST配列を両方とも削ったところで蛋白分解に抵抗性を示し自然に凝集体を形成しだすことから、C末側ドメインを介してユビキチン化されたPGC-1αの分解に、N末側の2つのPEST配列を含んだ領域が関わっていることも分かった。以上の結果から、潜在的にユビキチン化され凝集体形成を起こしやすいC末側ドメインの機能を、N末側の領域がPEST配列を使った蛋白分解を介して抑制することによってPGC-1αのタンパク質としてのターンオーバーと核内局在を同時に制御し、この強力な転写共役因子のいわゆる転写の場におけるavailabilityを決定していると考えられた。
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Research Products
(12 results)