2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維芽細胞の間葉-上皮細胞転換の役割とその機序の解明
Project/Area Number |
19659210
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 康宏 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 助教 (00323585)
|
Keywords | 間葉-上皮細胞転換 / 線維化 / BMP-7 / E-cadherin / vimentin / リモデリング / 肺線維芽細胞 / 肺胞上皮細胞 |
Research Abstract |
組織線維化の病態解明において、成人組織での分化した上皮細胞がある一定の条件下で間葉系細胞に表現型を変え、組織のリモデリング・線維化に関与するという上皮-間葉細胞転換(Epithehal Mesenchymal Transition: EMT)が明らかとなってきている。一方、その線維化・リモデリングの制御の目的にて、間葉-上皮細胞転換(Mesenchymal Epithehal transition; MET)、間葉系細胞である線維芽細胞がある一定の条件下で上皮細胞に転換する(EMTの逆の過程)について検討した。まず、EMTはTGF-βで促進されることが判明しているが、我々はヒト肺胞上皮細胞においてもEMTがTGF-β刺激で促進されることを検討した。肺胞上皮細胞株を用いて、TGF-βで刺激、48時間後に形態学的変化を検討した。TGF-β刺激にて敷石状の上皮細胞が紡錘型の間葉系細胞へと変化し、mRNAにおいても、上皮系マーカーであるE-cadherinの発現減弱と間葉系マーカーであるVimentinの発現充進を認め、EMTを認めた。さらに、TNF-αとTGF-βとの併用によりEMTがより促進されることを明らかにした。また、Gel contraction法による収縮能の検討にて、TGF-βによるEMTを経由した間葉系細胞では収縮能が充進しており、さらにTGF-βとTNF-αとの併用刺激で収縮能がさらに充進することを明らかにした。っまり、肺胞細胞においてもEMTが線維化に関与している可能性が示唆された。次に、肺線維芽細胞を用いてMETにっいて検討した。肺線維芽細胞に、Bone Morphogenic Protein(BMP)-7(BMP-7)を10,100,1000ng/mlの各濃度で刺激し、48時間後に形態学的変化を検討したが、全濃度において、肺線維芽細胞は細長い紡錘形の形態のままで、上皮様細胞には変化しなかった。さらに種々の条件で検討したが、線維芽細胞の形態には変化を認めなかった。現時点においては、肺線維芽細胞において、BMP-7によるMETの誘導については確認できない状況である。
|