2007 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング機構をターゲットとした遺伝性神経変性疾患に対する治療戦略の確立
Project/Area Number |
19659221
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡瀬 啓 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, COE抛点形成特任教員 (30376800)
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Keywords | 神経変性 / ポリグルタミン病 / 脊髄小脳変性症6型 / 治療 / RNA修復 / スプライス |
Research Abstract |
脊髄小脳変性症6型(SCA6)の治療方法を確立するために、1.SMaRT法2.小分子化合物を用いてCACNA1A遺伝子エクソン47領域のスプライス調節機構を修飾しうるかどうかの検討を行ってきた。1.Cacnala pre-mRNAをターゲットとするPTM(pre-transsplicing molecules)をデザインし、Cacnalaゲノム断片とともにPC12細胞に共導入した後、RNAを抽出してRNA修復の検討を行った。RT-PCR法を用いた解析では現在までのところ有意なトランススプライシングは認められていない。今後、新たに改良を加えたPTMsについてその効果を検討する予定である。 2.Cacnalaゲノム断片をミニジーンとして発現させた培養細胞系(PC12)及びSca6ノックインマウス小脳においてCACNA1A遺伝子エクソン47に存在するCAGリピートの伸長に伴って、ポリグルタミンをコードするMPI型アイソフォームの発現比率が増大することを定量的PCR法などで確認した。さらに両実験系において小分子化合物Xの投与により、この変化がほぼ完全に回復すること、また、これらの実験系において、MPIの発現増大に伴ってSRp75の発現が増大し、Xの投与によってSRp75の発現増大が抑制される事を見出した。SRpはスプライスに重要な役割を果たすことが知られており、Xはその発現を転写レベルで抑制することによりその効果を発揮することが示唆された。これらの結果は、小分子化合物XがSCA6の治療に有用である可能性を示す。
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